中枢神経系原発悪性リンパ腫または精巣原発リンパ腫に対するニボルマブの治験
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治験名
再発/難治性の中枢神経系原発リンパ腫または精巣原発リンパ腫を対象としたニボルマブの単群、コホート、非盲検非対照第2相試験
治験概要:
再発/難治性の中枢神経系原発リンパ腫または精巣原発リンパ腫に対する治験。少なくとも1回の全身療法の施行後に進行した患者さん、または奏効しなかった患者さんが対象です。
ニボルマブ単群による有効性を、奏効率で評価する臨床試験です。
登録予定数は、65人。
フェーズは、2相臨床試験。
試験デザインは、2コホート、単群、非盲検非対照試験。
試験群:ニボルマブ
で主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、奏功期間などで評価します。
疾患解説:中枢神経系原発悪性リンパ腫
中枢神経系原発悪性リンパ腫は、全脳腫瘍の3%程度で、50~70歳代の高齢者に多いリンパ腫です。
診断時に、中枢神経系以外に病巣がなく、中枢神経系に限局したもので、多臓器リンパ腫由来の2次的な中枢神経系にできるリンパ腫は含みません。
主な症状は、腫瘍ができた個所で異なりますが、手足の麻痺や失語症などが50%程度、頭痛、嘔気、嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状や精神症状でることがあります。
疾患解説:精巣原発リンパ腫
精巣原発リンパ腫は、全精巣腫瘍の5%程度です。60歳以上の精巣腫瘍でもっとも多くみられ、精巣原発リンパ腫の85%は60歳以上といわれています。
約90%を占める中高悪性度の精巣原発悪性リンパ腫では、化学療法、放射線療法に感受性が高く、CHOP療法を中心とした化学療法、対側精巣や後腹膜への放射線療法、さらに髄注療法が行われます。また、中枢神経系への再発が多いことがわかっています。
治験薬:ニボルマブ
ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
主な治験参加条件
対象となる人 |
- 組織学的に中枢神経系原発悪性リンパ腫または精巣原発リンパ腫と診断され、少なくとも1回の全身療法の施行後に進行した患者または奏効しなかった患者
- 測定可能病変がある患者
- 全身状態(Karnofsky Performance Status:)が70以上の患者
- 年齢:18歳以上
- 性別:両方
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対象とならない人 |
- 脳病変が認められない眼内中枢神経系原発悪性リンパ腫患者
- MRI検査による評価が不可能な中枢神経系原発悪性リンパ腫患者
- 全身性の病変がある中枢神経系原発悪性リンパ腫患者
- 活動性の自己免疫疾患の合併または疑いのある患者
- 過去3年以内に活動性の悪性腫瘍が認められている患者、ただし限局性の治癒可能ながんが明らかに治癒した場合を除く
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。
ECOG パフォーマンスステータス
PS 0 |
全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 |
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 |
歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 |
限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 |
全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータス
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スコア |
患者の状態 |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない |
100 |
正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 |
軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 |
80 |
かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする |
70 |
自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 |
自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 |
50 |
病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある |
40 |
動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 |
全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない |
20 |
非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 |
10 |
死期が切迫している |
0 |
死 |
WHO パフォーマンスステータス
スコア |
患者の状態 |
0 |
全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 |
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 |
歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 |
限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 |
全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 |
死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIやUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。
試験概要詳細
試験の名称 |
再発/難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)又は精巣原発リンパ腫(PTL)を対象としたニボルマブの単群、2コホート、非盲検非対照第2相試験 |
試験の概要 |
再発/難治性のPCNSL又はPTL患者を対象に、盲検化された独立中央判定委員会の判定に基づく奏効率によりニボルマブの臨床的有効性について評価する |
疾患名 |
中枢神経系原発リンパ腫/精巣原発リンパ腫 |
試験薬剤名 |
ONO-4538/BMS-936558 |
用法・用量 |
静脈内投与 |
試験のフェーズ |
フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン |
2コホート、単群、非盲検非対照試験 |
目標症例数 |
65 |
適格基準 |
- 組織学的にPCNSL又はPTLと診断され、少なくとも1回の全身療法の施行後に進行した患者又は奏効しなかった患者
- 測定可能病変を有する患者
- Karnofsky Performance Statusが70以上の患者
- 年齢:18歳以上
- 性別:両方
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除外基準 |
- 脳病変が認められない眼内PCNSL患者
- MRI検査による評価が不可能なPCNSL患者
- 全身性の病変を有するPCNSL患者
- 活動性の自己免疫疾患の合併又は疑いのある患者
- 過去3年以内に活動性の悪性腫瘍が認められている患者、ただし限局性の治癒可能ながんが明らかに治癒した場合を除く
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主要な評価項目 |
奏効率 |
主要な評価方法 |
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副次的な評価項目 |
全生存期間、無増悪生存期間、奏効期間など |
副次的な評価方法 |
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予定試験期間 |
2016年10月1日~2019年11月1日 |
出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより