大細胞型B細胞リンパ腫に対するKTE-C19(アキシカブタゲン シロロイセル)の治験

治験名

治療抵抗性または再発の大細胞型B細胞リンパ腫日本人患者を対象としたKTE-C19(アキシカブタゲン シロロイセル)の多施設共同、非盲検、単群、第2相試験

治験概要:

大細胞型B細胞リンパ腫に対する治験。治療抵抗性または再発の日本人患者さんが対象です。
KTE-C19(アキシカブタゲン シロロイセル)を投与して、客観的奏効率や奏功期間、無増悪生存期間、全生存期間などで評価する臨床試験です。
登録予定数は、10人。
フェーズは、2相臨床試験。
試験デザインは、非無作為化、単群、非盲検試験。
試験群:KTE-C19(アキシカブタゲン シロロイセル)
で主要評価項目は客観的奏効率、副次的評価項目は、中央画像評価機関が判定した奏効率、奏功期間、無増悪生存期間、全生存期間などで評価します。

疾患解説:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

悪性リンパ腫は、ヒトの免疫機能を担う白血球のうちのリンパ球ががん化する血液のがんです(図1)。国立がん研究センターのがん統計によると2014年に悪性リンパ腫に罹患した人は、約28500人です。1985年には10万人あたり5.5人だったのが、2019年には18.7人、2013年には20.2人となり年々増え続けています。女性より男性に多く、発症のピークは70歳代です。
悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別されますが、細かくは80種類くらいの病型に分類されます(図2)。日本では非ホジキンリンパ腫が約9割を占めています。
非ホジキンリンパ腫では、無治療の場合の予後を予測する臨床分類として、悪性度によって、3つに分類されています。「低悪性度(インドレントリンパ腫)」はがん細胞の増殖速度が遅く年単位で病気が進行するもの、「中悪性度(アグレッシブリンパ腫)」は月単位で進行するもの、「高悪性度(高度アグレッシブリンパ腫)」は増殖速度が速く週単位で進行するものです。どの悪性度に分類されるかは、病型ごとにほぼ定められています。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫の非ホジキンリンパ腫の1つで、悪性度は中悪性度に分類されます。日本人の非ホジキンリンパ腫の中で3割強を占める最も発生頻度の高い病型です。

図1 造血幹細胞と血液の分化

図2 悪性リンパ腫の主な病型と臨床分類

病型臨床分類
悪性リンパ腫非ホジキンリンパ腫成熟B細胞腫瘍慢性リンパ性白血病/ 小リンパ球性リンパ腫
リンパ形質細胞性リンパ腫
脾辺緑帯リンパ腫
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫
マントル細胞リンパ腫低から中
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
バーキットリンパ腫/白血病
成熟T細胞/NK細胞腫瘍T細胞大型顆粒リンパ球性白血病
成人T細胞白血病・リンパ腫(くすぶり型、慢性型)
菌状息肉症/セザリー症候群
原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫低から中
末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
腸症関連T細胞リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫
肝脾T細胞リンパ腫
成人T細胞白血病・リンパ腫(急性型、リンパ腫型)中から高
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
急速進行性NK細胞白血病
ホジキンリンパ腫結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
古典的ホジキンリンパ腫結節性硬化型
混合細胞型
リンパ球豊富型
リンパ球減少型

造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版を参考に作成

治験薬:アキシカブタゲン シロロイセル

アキシカブタゲン シロロイセルは、CAR-T療法と呼ばれるCD19という膜たんぱく質を標的とする細胞治療薬です。
CAR-T療法は、患者さん自身の血液から採取したT細胞を、がん細胞を攻撃するように遺伝子を導入したあと、患者さんに戻す免疫細胞療法です。アキシカブタゲン シロロイセルは、患者さんから採取した血液を細胞加工施設でT細胞だけを分離して、がん細胞を攻撃するように加工され増殖して作られます。がん細胞を攻撃するように、キメラ抗原受容体(CAR)という遺伝子をT細胞に導入するために、人工的に遺伝子操作をしています。
患者さん自身の採取された血液から作られるため、完全テーラーメイドの治療薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 組織検査で確認されたいずれかのアグレッシブB細胞NHL(WHO 2016で定義された以下のタイプを含む)がある患者
    i)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    a)不特定のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    胚中心B細胞リンパ腫
    活性型B細胞リンパ腫
    b)血管内大細胞型B細胞リンパ腫
    c)T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫
    d)慢性炎症に伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    e)不特定のHBウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    ii)原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫
    iii)形質転換濾胞性リンパ腫
    iv)MYCおよびBCL2とBCL6両方か一方の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫
    v)不特定の高悪性度B細胞リンパ腫
  • 少なくとも以下のいずれかに該当する治療抵抗性疾患がある患者
    i)一次治療レジメンに無効(原発性治療抵抗性疾患)。ただし、一次治療レジメンに不耐性の患者は除外する
    a)一次治療レジメンに対する最良効果としての疾患進行
    b)一次治療レジメンを4サイクル以上実施した後の最良効果が不変で、不変期間は最終投与後6か月未満である
    ii)二次治療レジメン以降の治療法に無効
    a)最後の治療レジメンに対する最良効果としての疾患進行
    b)最後の選択治療レジメンを2サイクル以上投与した後の最良効果が安定で、安定期間は最終投与後6か月未満である
    iii)自己造血幹細胞移植後の再発
    a)自己造血幹細胞移植後12か月以内に病勢進行または再発
    b)自己造血幹細胞移植後にサルベージ療法を実施する場合は、サルベージ療法後に効果がみられないか、または再発がみられる
  • 少なくとも以下に示す治療を受けていた患者
    i)抗CD20モノクローナル抗体の投与
    ii)アンスラサイクリン含有化学療法
    iii)形質転換濾胞性リンパ腫患者では、濾胞性リンパ腫に対する化学療法
  • 測定可能な病変を1か所以上ある患者。以前に放射線療法を実施した病変は、放射線療法終了後に進行が証明された場合にのみ測定可能とする
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 過去3年以内に悪性腫瘍の既往歴がある患者
  • 慢性リンパ性白血病のリヒター形質転換の既往歴がある患者
  • KTE-C19投与前6週間以内に自己幹細胞移植を実施した患者
  • 同種幹細胞移植の実施歴がある患者
  • CD19標的療法による治療歴がある患者
  • CAR-T細胞療法または他の遺伝的に修飾したT細胞療法の治療歴がある患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称治療抵抗性又は再発の大細胞型B細胞リンパ腫日本人患者を対象としたKTE-C19の多施設共同、非盲検、単群、第II相試験
試験の概要主目的: 治療抵抗性又は再発の大細胞型B細胞リンパ腫日本人患者におけるKTE-C19の有効性を客観的奏効率(objective response rate: ORR)(改訂International Working Group[IWG] Response Criteria for Malignant Lymphoma[Cheson 2007]基準を用いた治験責任医師又は治験分担医師による判定)により評価する。また、KTE-C19の安全性を評価する
副次目的: 治療抵抗性又は再発の大細胞型B細胞リンパ腫日本人患者におけるKTE-C19の有効性をORR(中央画像評価機関による判定)、奏効期間(duration of response: DOR)、無増悪生存期間(progression-free survival: PFS)、全生存期間(overall survival: OS)により評価する。また、KTE-C19の体内動態を評価する
疾患名治療抵抗性又は再発(移植後再発もしくは移植適応とならない薬物療法後再発)のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma: DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(primary mediastinal B cell lymphoma:PMBCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(transformed follicular lymphoma:TFL)、及びHigh-grade B cell lymphoma
試験薬剤名抗CD19 CAR-T細胞
用法・用量抗CD19 CAR-T細胞2.0 × 10^6cells/kgを目安に投与する。体重100kgを上回る被験者については、最大固定用量2.0 × 10^8cellsにて投与する
試験のフェーズフェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン無作為化有無:非無作為化
盲検化有無:非盲検(オープン)
デザイン:単群
対照群の種類:なし
目標症例数10
適格基準
  • 組織検査で確認されたいずれかのアグレッシブB細胞NHL(WHO 2016で定義された以下のタイプを含む)を有する患者
    i)DLBCL
    a)DLBCL, NOS
    胚中心B細胞リンパ腫
    活性型B細胞リンパ腫
    b)血管内大細胞型B細胞リンパ腫
    c)T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫
    d)慢性炎症に伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    e)Epstein-Barr virus陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫, NOS
    ii)PMBCL
    iii)TFL
    iv)MYC及びBCL2とBCL6両方か一方の再構成を伴うHigh-grade B cell lymphoma
    v)High-grade B cell lymphoma, NOS
  • 少なくとも以下のいずれかに該当する治療抵抗性疾患を有する患者
    i)一次治療レジメンに無効(原発性治療抵抗性疾患)。ただし、一次治療レジメンに不耐性の患者は除外する
    a)一次治療レジメンに対する最良効果としての疾患進行(progressive disease: PD)
    b)一次治療レジメンを4サイクル(例: R-CHOP 4サイクル)以上実施した後の最良効果が不変(stable disease: SD)で、SD期間は最終投与後6ヵ月未満である
    ii)二次治療レジメン以降の治療法に無効
    a)最後の治療レジメンに対する最良効果としてのPD
    b)最後の選択治療レジメンを2サイクル以上投与した後の最良効果がSDで、SD期間は最終投与後6ヵ月未満である
    iii)ASCT後の再発
    a)ASCT後12ヵ月以内にPD又は再発(再発患者では生検で再発が証明されなければならない)
    b)ASCT後にサルベージ療法を実施する場合は、サルベージ療法後に効果がみられないか、又は再発がみられる(再発患者では生検で再発が証明されなければならない)
  • 少なくとも以下に示す治療を受けていた患者
    i) 抗CD20モノクローナル抗体の投与(治験責任医師又は治験分担医師がCD20陰性と判断する場合以外)
    ii) アンスラサイクリン含有化学療法
    iii) TFL患者では、濾胞性リンパ腫に対する化学療法(その後、DLBCLに形質転換し、化学療法抵抗性が認められる被験者が選択基準に該当)
  • 改訂IWG Response Criteria for Malignant Lymphoma(Cheson 2007)に従って測定可能な病変を1ヵ所以上有する患者。以前に放射線療法を実施した病変は、放射線療法終了後に進行が証明された場合にのみ測定可能とする
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 過去3年以内に悪性腫瘍の既往歴がある患者(皮膚癌[メラノーマ以外]、子宮頚部癌、膀胱癌、乳癌等の上皮内癌、又は濾胞性リンパ腫は過去3年以内の既往があってもエントリー可)
  • CLLのリヒター形質転換の既往歴がある患者
  • KTE-C19投与前6週間以内に自己幹細胞移植を実施した患者
  • 同種幹細胞移植の実施歴がある患者
  • CD19標的療法による治療歴がある患者(ただし、本治験でKTE-C19再投与の適応となった場合を除く)
  • CAR T細胞療法又は他の遺伝的に修飾したT細胞療法の治療歴がある患者(ただし、本治験でKTE-C19再投与の適応となった場合を除く)
主要な評価項目治験責任医師又は治験分担医師が判定した改訂IWG Response Criteria for Malignant Lymphoma(Cheson 2007)基準によるORR(CR又はPRと判定された被験者の割合)
主要な評価方法
副次的な評価項目中央画像評価機関が判定したORR
DOR
PFS
OS
副次的な評価方法
予定試験期間2018/04/01~2034/06/30

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより