再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するポラツズマブ ベドチンとリツキシマブ+ベンダムスチン併用の治験

治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム外部リンク」ページでご確認ください。

上記ページにアクセスし、条件欄から「研究の名称」を選択、このページの「試験概要詳細」の「試験の名称」をコピーして、キーワード欄に貼り付け、検索してください。

治験名

再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象としたポラツズマブ ベドチンとリツキシマブ+ベンダムスチン併用療法の第2相臨床試験

治験概要:

再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する治験。少なくとも1回は治療を受けたことがあるCD20陽性の患者さんが対象です。 ポラツズマブ ベドチン+リツキシマブ+ベンダムスチン併用療法の、有効性と安全性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、35人。 フェーズは、2相臨床試験。 試験デザインは、多施設共同、単群非盲検試験。 試験群:ポラツズマブ ベドチン+リツキシマブ + ベンダムスチン併用療法 で有効性などで評価します。

疾患解説:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

悪性リンパ腫は、ヒトの免疫機能を担う白血球のうちのリンパ球ががん化する血液のがんです(図1)。国立がん研究センターのがん統計によると2014年に悪性リンパ腫に罹患した人は、約28500人です。1985年には10万人あたり5.5人だったのが、2019年には18.7人、2013年には20.2人となり年々増え続けています。女性より男性に多く、発症のピークは70歳代です。 悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別されますが、細かくは80種類くらいの病型に分類されます(図2)。日本では非ホジキンリンパ腫が約9割を占めています。 非ホジキンリンパ腫では、無治療の場合の予後を予測する臨床分類として、悪性度によって、3つに分類されています。「低悪性度(インドレントリンパ腫)」はがん細胞の増殖速度が遅く年単位で病気が進行するもの、「中悪性度(アグレッシブリンパ腫)」は月単位で進行するもの、「高悪性度(高度アグレッシブリンパ腫)」は増殖速度が速く週単位で進行するものです。どの悪性度に分類されるかは、病型ごとにほぼ定められています。 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫の非ホジキンリンパ腫の1つで、悪性度は中悪性度に分類されます。日本人の非ホジキンリンパ腫の中で3割強を占める最も発生頻度の高い病型です。
図1 造血幹細胞と血液の分化

図2 悪性リンパ腫の主な病型と臨床分類

病型 臨床分類
悪性リンパ腫 非ホジキンリンパ腫 成熟B細胞腫瘍 慢性リンパ性白血病/ 小リンパ球性リンパ腫
リンパ形質細胞性リンパ腫
脾辺緑帯リンパ腫
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫
マントル細胞リンパ腫 低から中
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
バーキットリンパ腫/白血病
成熟T細胞/NK細胞腫瘍 T細胞大型顆粒リンパ球性白血病
成人T細胞白血病・リンパ腫(くすぶり型、慢性型)
菌状息肉症/セザリー症候群
原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫 低から中
末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
腸症関連T細胞リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫
肝脾T細胞リンパ腫
成人T細胞白血病・リンパ腫(急性型、リンパ腫型) 中から高
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
急速進行性NK細胞白血病
ホジキンリンパ腫 結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
古典的ホジキンリンパ腫 結節性硬化型
混合細胞型
リンパ球豊富型
リンパ球減少型

造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版を参考に作成

治験薬:ポラツズマブ ベドチン

ポラツズマブ ベドチンは、B細胞の表面に発現しているCD79bと選択的の結合する抗体薬物複合体です。 CD79bと結合することで、内在化とたんぱく質を分解切断し、モノメチルアウリスタチン(MMAE)がチューブリンに結合して阻害することで、細胞死を誘導します。

治験薬:リツキシマブ

リツキシマブは、CD20抗原と選択的に結合する分子標的薬です。 CD20抗原は、B細胞性リンパ腫の細胞表面に多く発現しており、リツキシマブはこのCD20抗原と結合することでがん細胞を破壊します。 がん細胞の破壊は、マクロファージやNK細胞といった免疫細胞を呼び寄せ結合しているがん細胞を攻撃する抗体依存性細胞障害によるものと、マクロファージによる貪食細胞による捕食促進作用や溶解作用を行う補体を介して攻撃する補体依存性細胞障害活性によるものです。

治験薬:ベンダムスチン

ベンダムスチンは、アルキル化薬と代謝拮抗薬の構造を併せ持つDNAに作用する抗がん薬です。 アルキル化薬は、がん細胞のDNAに結合しDNA複製を阻害することで、DNAを破壊します。代謝拮抗薬は、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して、がん細胞の増殖を抑制します。 ベンダムスチンは、細胞内でDNA修復や細胞増殖停止、アポトーシスなどの細胞増殖サイクルの抑制を制御する機能を持つp53遺伝子の依存性にかかわらず、アポトーシスと細胞増殖サイクルの抑制を行うことで腫瘍細胞を破壊します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • CD20陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であることが確認されている
  • 少なくとも1回は治療を受けたことのある再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0、1または2
  • 本治験の登録から24週以上の生存が見込める
  • 直交する2方向で測定可能な病変(最大径>=1.5 cm)がある
  • 腫瘍ブロックまたは未染色スライド13枚の提出が可能
  • 十分な血液学的機能がある
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • ベンダムスチンまたはリツキシマブのいずれかが禁忌
  • 低悪性度リンパ腫からびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に形質転換した既往歴がある
  • 原発性中枢神経系リンパ腫の既往、合併または続発性中枢神経系リンパ腫の合併がある
  • 無病期間が3年未満の重複がんの既往、または重複癌の合併がある
  • 同種幹細胞移植の施行歴がある
  • 自家造血幹細胞移植の適応がある
  • グレード2以上の末梢性ニューロパチーがある
  • 活動性の感染症がある
  • 活動性または潜在性の結核が疑われる
  • HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体陽性(HBs抗体および/またはHBc抗体のみ陽性でHBV-DNAが検出されない方は除く)
  • HCV抗体陽性の方(ただし、HCV-RNA陰性の場合を除く)
  • HIV抗体陽性、HTLV-1感染が既知の方

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称 再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象としたポラツズマブ ベドチン(RO5541077)とリツキシマブ + ベンダムスチン併用療法の第II相臨床試験
試験の概要 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者においてポラツズマブ ベドチンとリツキシマブ及びベンダムスチンとの併用投与の有効性及び安全性を評価する
疾患名 B細胞性非ホジキンリンパ腫
試験薬剤名 ポラツズマブ ベドチン
用法・用量 ポラツズマブ ベドチンとして1回1.8mg/kgを21日投与間隔で、6サイクル点滴静注する
試験薬剤名 ベンダムスチン塩酸塩
用法・用量 ベンダムスチン塩酸塩90mg/m2を2日間連続で点滴静注する。21日間を1サイクルとして、6サイクル行う
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン 多施設共同、単群非盲検試験
目標症例数 35
適格基準
  • 織学的にCD20陽性のDLBCLであることが確認されている
  • 少なくとも1回は治療を受けたことのある再発又は難治性DLBCLである
  • ECOG Performance Status が0、1、又は2である
  • 本治験の登録から24週以上の生存が見込める
  • 直交する2方向で測定可能な病変(最大径>=1.5 cm)を有する
  • 腫瘍ブロックまたは未染色スライド13枚の提出が可能
  • 十分な血液学的機能を有する
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • ベンダムスチン又はリツキシマブのいずれかが禁忌である
  • 低悪性度リンパ腫からDLBCLに形質転換した既往歴を有する
  • 原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫の既往、合併又は続発性CNSリンパ腫の合併を有する
  • 無病期間が3年未満の重複癌の既往、又は重複癌の合併を有する
  • 同種幹細胞移植の施行歴がある
  • 自家造血幹細胞移植の適応を有する
  • グレード2以上の末梢性ニューロパチーを有する
  • 活動性の感染症を有する方
  • 活動性又は潜在性の結核が疑われる方
  • HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体陽性の方(HBs抗体及び/又はHBc抗体のみ陽性でHBV-DNAが検出されない方は除く)
  • HCV抗体陽性の方(ただし、HCV-RNA陰性の場合を除く)
  • HIV抗体陽性、HTLV-1感染が既知の方
主要な評価項目 有効性/efficacy
主要な評価方法 観察・検査
副次的な評価項目 有効性/efficacy
副次的な評価方法 観察・検査
予定試験期間

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより2018年7月12日~2022年5月31日