再発・難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対するダリナパルシンの治験

治験名

再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対するダリナパルシンアジア共同第2相試験

治験概要:

再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対する治験。少なくとも抗悪性腫瘍薬による1レジメン以上の治療歴がある患者さんが対象です。
ダリナパルシン300mg/m2を1日1回5日間連日投与後16日間休薬、21日間(3週間)を1サイクルとして繰り返し、抗腫瘍効果、無増悪生存期間、全生存期間、有害事象の発現状況などで評価する臨床試験です。
登録予定数は、65人。
フェーズは、2相臨床試験。
試験デザインは、国際多施設共同、単一群、非盲検、非無作為化試験。
試験群:ダリナパルシン
抗腫瘍効果、無増悪生存期間、全生存期間、有害事象の発現状況などで評価します。

疾患解説:末梢性T細胞リンパ腫

悪性リンパ腫は、ヒトの免疫機能を担う白血球のうちのリンパ球ががん化する血液のがんです(図1)。国立がん研究センターのがん統計によると2014年に悪性リンパ腫に罹患した人は、約28500人です。1985年には10万人あたり5.5人だったのが、2019年には18.7人、2013年には20.2人となり年々増え続けています。女性より男性に多く、発症のピークは70歳代です。
悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別されますが、細かくは80種類くらいの病型に分類されます(図2)。日本では非ホジキンリンパ腫が約9割を占めています。
非ホジキンリンパ腫では、無治療の場合の予後を予測する臨床分類として、悪性度によって、3つに分類されています。「低悪性度(インドレントリンパ腫)」はがん細胞の増殖速度が遅く年単位で病気が進行するもの、「中悪性度(アグレッシブリンパ腫)」は月単位で進行するもの、「高悪性度(高度アグレッシブリンパ腫)」は増殖速度が速く週単位で進行するものです。どの悪性度に分類されるかは、病型ごとにほぼ定められています。
末梢性T細胞リンパ腫は、リンパ球の1つT細胞ががん化する非ホジキンリンパ腫で、中悪性度に分類されます。中悪性度リンパ腫の10~15%を占めます。
主な病型は、末梢性T細胞リンパ腫、非特定型末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫です。
末梢性T細胞リンパ腫の主な症状は、リンパ節の腫れとしこりによる圧迫感があります。全身症状としては、体重減少、高熱、寝汗などが起こることもあります。症状は、患者さんによって異なります。しこりのできる部位も、首や腋の下、足の付け根のリンパ節が腫れることが多く、しこりができた部位によって、圧迫される臓器も異なるため、起こる症状もさまざまです。

図1 造血幹細胞と血液の分化

図2 悪性リンパ腫の主な病型と臨床分類

病型臨床分類
悪性リンパ腫非ホジキンリンパ腫成熟B細胞腫瘍慢性リンパ性白血病/ 小リンパ球性リンパ腫
リンパ形質細胞性リンパ腫
脾辺緑帯リンパ腫
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫
マントル細胞リンパ腫低から中
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
バーキットリンパ腫/白血病
成熟T細胞/NK細胞腫瘍T細胞大型顆粒リンパ球性白血病
成人T細胞白血病・リンパ腫(くすぶり型、慢性型)
菌状息肉症/セザリー症候群
原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫低から中
末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
腸症関連T細胞リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫
肝脾T細胞リンパ腫
成人T細胞白血病・リンパ腫(急性型、リンパ腫型)中から高
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
急速進行性NK細胞白血病
ホジキンリンパ腫結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
古典的ホジキンリンパ腫結節性硬化型
混合細胞型
リンパ球豊富型
リンパ球減少型

造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版を参考に作成

治験薬:ダリナパルシン

ダリナパルシンは、ミトコンドリアを標的とする薬剤です。
ダリナパルシンは、体内で揮発性の細胞毒性ヒ素化合物を生成し、ミトコンドリアの生体エネルギーを乱し、活性酸素を生成することで、がん細胞のアポトーシスを誘導します。
また、細胞周期のG2/M期を中断することで細胞死を誘導、血管新生阻害作用を示すこともあると考えられています。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 各実施予定国/地域の民族的背景を有する患者
  • 同意取得日の年齢が20歳以上の患者
  • 次の疾患であることが病理組織学的に確定診断されている患者
    – 末梢性T細胞リンパ腫−非特異群(PTCL-NOS
    – 血管免疫芽球型T細胞リンパ腫(AITL)
    – 未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、ALK陽性/陰性
  • 上記の疾患に対して抗悪性腫瘍薬による少なくとも1レジメン以上の治療歴がある患者
  • コンピューター断層撮影(CT)断面像において、測定可能なリンパ腫病変(腫大リンパ節又は節外性腫瘤病変)を有する患者
  • 全身状態(performance status:PS)が0、1、2の患者
  • 治験責任医師または分担医師の判断において、生存期間が3か月以上と予想される患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対するSP-02L(darinaparsin注射剤)アジア共同第2相試験
試験の概要再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に対するSP-02L単独投与時の有効性及び安全性を検討する
疾患名末梢性T細胞リンパ腫
試験薬剤名SP-02L(darinaparsin注射剤)
用法・用量Darinaparsinとして300mg/m2を1日1回5日間連日投与後16日間休薬する。この21日間(3週間)を1サイクルとして繰り返す
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズフェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン第2相・国際多施設共同・単一群・非盲検・非無作為化試験
目標症例数65
適格基準
  • 各実施予定国/地域の民族的背景を有する患者
  • 同意取得日の年齢が20歳以上の患者
  • 次の疾患であることが病理組織学的に確定診断されている患者
    – 末梢性T細胞リンパ腫−非特異群(PTCL-NOS)
    – 血管免疫芽球型T細胞リンパ腫(AITL)
    – 未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、ALK陽性/陰性
  • 上記の疾患に対して抗悪性腫瘍薬による少なくとも1レジメン以上の治療歴がある患者
  • コンピューター断層撮影(CT)断面像において、測定可能なリンパ腫病変(腫大リンパ節又は節外性腫瘤病変)を有する患者
  • ECOG PS Scaleによる一般活動状態が0、1、2の患者
  • 治験責任医師又は分担医師の判断において、生存期間が3か月以上と予想される患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
主要な評価項目抗腫瘍効果(最良効果)
主要な評価方法
副次的な評価項目無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)
副次的な評価方法
副次的な評価項目有害事象の発現状況
副次的な評価方法
予定試験期間2016/03/01~2019/09/01

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより