進行・再発卵巣がん対するニボルマブの治験

治験名

卵巣がんに対する多施設共同非盲検無作為化試験

治験概要:

進行または再発卵巣がんに対する治験。プラチナ製剤の投与中または最終投与後6か月未満に進行もしくは再発を認められた患者さんが対象です。 ニボルマブとペグ化リポソーマルドキソルビシン、ゲムシタビンを比較して、全生存期間、奏効率、無増悪生存期間、病勢制御率、QOL、安全性などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、300人。 フェーズは、3相臨床試験。 試験デザインは、多施設共同非盲検無作為化試験。 試験群:ニボルマブ 対照群:ペグ化リポソーマルドキソルビシン、ゲムシタビン 全生存期間、奏効率、無増悪生存期間、病勢制御率、QOL、安全性などで評価します。

疾患解説:卵巣がん

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に卵巣がんに罹患した人は、約5000人弱です。40歳くらいから増加し始め、50代前半から60代前半をピークに、その後は高齢になるにつれ減少します。 卵巣にできる腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍、それに良性と悪性の中間型の境界悪性とがあり、悪性腫瘍が卵巣がんです。術前に行うMRIやCTなどの画像検査による所見や血液検査による腫瘍マーカー測定によって、良性~悪性を推定します。 卵巣がんは複数の発生要因が関与されているといわれていますが、そのうち約10%はBRCA1/2遺伝子の変異が関与していることがわかっています。同じ遺伝子変異があると乳がんの発症リスクも高くなり、BRCA1/2遺伝子変異が原因の場合、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)といいます。

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

対照薬:ペグ化リポソーマルドキソルビシン

ペグ化リポソーマルドキソルビシンは、ドキソルビシンをペグ化リポソームに封入したドラッグデリバリーシステムを活用したお薬です。ペグ化リポソームに有効成分のドキソルビシンを封入することで、マクロファージに補足されることなく、がん細胞に運ばれるように設計されています。 ドキソルビシンは、細胞内のDNAに結合することでDNAやRNAの合成を阻害するアントラサイクリン系の殺細胞性抗がん薬です。 アントラサイクリン系抗がん薬は、DNA鎖を延長させる酵素の阻害、DNA鎖の切断作用により、DNAやRNAの合成を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。

対照薬:ゲムシタビン

ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。 細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。 ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。 ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 上皮性卵巣がん(卵管がんおよび腹膜がんを含む)であることが確認された患者
  • 同意取得時点で90日以上の生存が期待される患者
  • プラチナ製剤の投与中または最終投与後6か月未満に進行もしくは再発を認めた患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:女性
対象とならない人
  • 他の抗体製剤に対して高度の過敏反応の既往がある患者
  • 重複がんがある患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 卵巣がんに対する多施設共同非盲検無作為化試験
試験の概要 進行又は再発卵巣がんに対するONO-4538の有効性及び安全性について,化学療法を対照とした多施設共同非盲検無作為化試験により検討する
疾患名 卵巣がん
試験薬剤名 ONO-4538
用法・用量 静脈内投与
対照薬剤名 リポソーム化ドキソルビシン、ゲムシタビン
用法・用量 静脈内投与
試験のフェーズ フェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン 多施設共同非盲検無作為化試験
目標症例数 300
適格基準
  • 組織診により上皮性卵巣がん(卵管がん及び腹膜がんを含む)であることが確認された患者
  • 同意取得時点で90日以上の生存が期待される患者
  • プラチナ製剤の投与中又は最終投与後6カ月未満に進行若しくは再発を認めた患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:女性
除外基準
  • 他の抗体製剤に対して高度の過敏反応の既往がある患者
  • 重複がんを有する患者
主要な評価項目 全生存期間
主要な評価方法
副次的な評価項目 奏効率、無増悪生存期間、病勢制御率、QOL、安全性など
副次的な評価方法
予定試験期間 2015年9月1日~2020年7月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより