ステージ3、4卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんに対するアテゾリズマブの治験

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治験名

初発のステージIII期又はIV期の卵巣癌,卵管癌又は原発性腹膜癌患者を対象に,パクリタキセル,カルボプラチン及びベバシズマブとの併用下でアテゾリズマブとプラセボを比較する試験[IMaGYN050]

疾患解説:卵巣がん,卵管がん

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に卵巣がんに罹患した人は、約5000人弱です。40歳くらいから増加し始め、50代前半から60代前半をピークに、その後は高齢になるにつれ減少します。 卵巣にできる腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍、それに良性と悪性の中間型の境界悪性とがあり、悪性腫瘍が卵巣がんです。術前に行うMRIやCTなどの画像検査による所見や血液検査による腫瘍マーカー測定によって、良性~悪性を推定します。 卵巣がんは複数の発生要因が関与されているといわれていますが、そのうち約10%はBRCA1/2遺伝子の変異が関与していることがわかっています。同じ遺伝子変異があると乳がんの発症リスクも高くなり、BRCA1/2遺伝子変異が原因の場合、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)といいます。

疾患解説:原発性腹膜がん

腹膜がんは、腹膜に発生した悪性腫瘍です。卵巣がんに多い漿液性腺がんという組織型の腫瘍が、卵巣や卵管に原発巣がなく腹腔内にある場合に腹膜がんと診断されます。腹膜がんは、卵巣がんと卵管がんとあわせた総数の約10~20%といわれています。

治験薬:アテゾリズマブ

アテゾリズマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 上皮性卵巣がん、原発性腹膜がんまたは卵管がん患者
  • 健康状態(PS)が0、1、または2
  • 生存期間が12週間以上見込める
  • 造血機能及び主要臓器機能が保たれている
  • 抗凝固療法を受けている患者のうち、安定したレジメンで投与を受けていること
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:女性
対象とならない人
  • 低悪性度卵巣腫瘍(境界腫瘍など)、非上皮性卵巣腫瘍がある
  • 再発性の浸潤性上皮性卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がんがある
  • 過去5年以内にその他の浸潤性悪性腫瘍が見られていた場合(ただし、限局性乳がんなど、特定の悪性腫瘍は組み入れ可能となる場合がある)
  • 妊娠中または授乳中の患者
  • 自己免疫疾患の既往歴のある患者
  • HIV陽性、活動性HBV、活動性HCVの患者
  • 重大な心血管疾患のある患者
  • CD137作動薬、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4抗体)の投与歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。

試験概要詳細

試験の名称初発のステージIII期又はIV期の卵巣癌,卵管癌又は原発性腹膜癌患者を対象に,パクリタキセル,カルボプラチン及びベバシズマブとの併用下でアテゾリズマブとプラセボを比較する試験[IMaGYN050]
試験の概要初発、未治療のステージIII期又はIV期の卵巣癌、卵管癌又は原発性腹膜癌患者における、アテゾリズマブ又はプラセボとパクリタキセル、カルボプラチン、ベバシズマブを併用の有効性及び安全性を評価する。
疾患名卵巣癌、卵管癌又は原発性腹膜癌
試験薬剤名アテゾリズマブ
用法・用量1200mgを21日間隔で点滴静注
試験薬剤名パクリタキセル
用法・用量175mg/m2を21日間隔で、合計6サイクル点滴静注
試験薬剤名カルボプラチン
用法・用量AUC6mg/mL/minを21日間隔で、合計6サイクル点滴静注
試験薬剤名ベバシズマブ
用法・用量15mg/kgを21日間隔で点滴静注
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン多施設共同、二重盲検、ランダム化試験
目標症例数1300
適格基準
  • 上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌又は卵管癌の組織学的診断を受けている患者
  • ECOG PSが0、1、又は2
  • 生存期間が12週間以上見込める
  • 造血機能及び主要臓器機能が保たれている
  • 抗凝固療法を受けている患者のうち、安定したレジメンで投与を受けていること
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:女性
除外基準
  • 低悪性度卵巣腫瘍(境界腫瘍など)、非上皮性卵巣腫瘍を有する
  • 再発性の浸潤性上皮性卵巣癌、卵管癌又は原発性腹膜癌を有する
  • 過去5年以内にその他の浸潤性悪性腫瘍が見られていた場合(ただし,限局性乳癌など,特定の悪性腫瘍は組み入れ可能となる場合がある)
  • 妊娠中又は授乳中の患者
  • 自己免疫疾患の既往歴のある患者
  • HIV陽性、活動性HBV、活動性HCVの患者
  • 重大な心血管疾患のある患者
  • CD137作動薬、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1,抗PD-L1,又は抗CTLA-4抗体)の投与歴がある患者
主要な評価項目無増悪生存期間、全生存期間
主要な評価方法 RECIST v1.1、観察
副次的な評価項目奏効率、安全性等
副次的な評価方法 RECIST v1.1、観察等
予定試験期間2017年2月~2025年7月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより