ステージ3、4の進行卵巣がんに対するデュルバルマブ+ベバシズマブ+オラパリブ併用の治験

治験名

DUO-O

新たに診断された進行卵巣がん患者を対象として、デュルバルマブと化学療法およびベバシズマブとの併用投与後にデュルバルマブ、ベバシズマブおよびオラパリブを維持療法として投与する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験

治験概要:

進行卵巣がんに対する治験。ステージ3または4のハイグレード上皮性卵巣がんの患者さんが対象です。
白金製剤を含む標準化学療法とデュルバルマブ+ベバシズマブ併用投与後に、維持療法としてデュルバルマブ+ベバシズマブ併用療法とデュルバルマブ+ベバシズマブ+オラパリブ併用療法を比較して有効性と安全性を評価する臨床試験です。
登録予定数は1056人。
試験デザインは、無作為化並行群間。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較する対象は
試験群:デュルバルマブ+ベバシズマブ+オラパリブ+標準化学療法
対照群:プラセボ
で主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間などで評価します。

疾患解説:卵巣がん

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に卵巣がんに罹患した人は、約5000人弱です。40歳くらいから増加し始め、50代前半から60代前半をピークに、その後は高齢になるにつれ減少します。
卵巣にできる腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍、それに良性と悪性の中間型の境界悪性とがあり、悪性腫瘍が卵巣がんです。術前に行うMRIやCTなどの画像検査による所見や血液検査による腫瘍マーカー測定によって、良性~悪性を推定します。
卵巣がんは複数の発生要因が関与されているといわれていますが、そのうち約10%はBRCA1/2遺伝子の変異が関与していることがわかっています。同じ遺伝子変異があると乳がんの発症リスクも高くなり、BRCA1/2遺伝子変異が原因の場合、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)といいます。

治験薬:デュルバルマブ

デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:ベバシズマブ

ベバシズマブは、血管内細胞増殖因子(VEGF)のVEGF-Aとその受容体(VEGFR)のVEGFR-1、VEGFR-2の結合を阻害する血管新生阻害薬です。
がん細胞は、VEGFによって血管内皮細胞の増殖を刺激することで、新しい血管をがん細胞までのばし、栄養や酸素を取り入れます。また、この血管は、がん細胞の血行転移の経路にもなると考えられています。
ラムシルマブは、血管新生を阻害することでがん細胞が栄養や酸素を取り込めないように兵糧攻めにして、増殖を抑制します。

治験薬:オラパリブ

オラパリブは、損傷したDNAを修復するPARPと呼ばれる酵素を阻害する分子標的薬です。
正常な細胞でDNAに損傷が起こると、PARPが修復します。PARP阻害薬で修復を妨げても、PARP以外のBRCA1とBRCA2という遺伝子が、たんぱく質を生成し損傷したDNAを修復します。しかし、BRCA1/2遺伝子に変異があると、損傷したDNAの修復が行われないため細胞死を誘導します。
オラパリブは、BRCA1/2遺伝子変異によってDNAが修復できずがん化した細胞に特異的に働き、PARPを阻害することでがん細胞のDNA損傷の修復をさせず細胞死を誘導します。

治験薬:カルボプラチン

カルボプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。カルボプラチンは、シスプラチンの構造を変えることで吐き気や腎臓への障害、神経障害が軽減された第2世代の白金製剤です。

治験薬:パクリタキセル

パクリタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬です。
細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管という物質がばらばらになる必要があります。パクリタキセルは、この微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • ハイグレード漿液性がん、ハイグレード類内膜がん、卵巣明細胞がん、またはがん肉腫を含む進行(ステージ3または4)ハイグレード上皮性卵巣がん(原発性腹膜がん、および/または卵管がんを含む)と新たに診断され、組織学的に確認された女性患者
  • 年齢が18歳以上である患者
  • 以下のいずれかに該当する患者。初回腫瘍減量術または、化学療法と化学療法期間中の腫瘍減量手術との併用が計画されている
  • 腫瘍組織のBRCA1/2変異の有無が明らかになっている患者
  • 中央検査機関でのtBRCA変異検査のため腫瘍サンプルを提供できること
  • 全身状態(performance status:PS)が0または1の患者
  • 臓器および骨髄機能が正常である患者
  • 閉経後の女性、または妊娠可能な女性の場合には妊娠していないことを示すエビデンスが認められる患者:尿または血清妊娠検査が陰性
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:女性
対象とならない人
  • 上皮性以外の卵巣がん、境界悪性腫瘍、ローグレード上皮腫瘍、または粘液性組織像がある患者
  • 卵巣がんに対して全身抗がん療法の治療歴がある患者
  • BRCAに病的変異または病的と疑われる変異の有無が判定できなかった患者
  • PARP阻害剤の投与歴、または免疫介在療法の投与歴がある患者
  • 腹腔内細胞傷害性化学療法が予定されている患者
  • 現在または過去に、自己免疫疾患または炎症性疾患が確認された患者
  • 重度、コントロールできない併発疾患があり、医学的リスクが高い患者
  • 臨床的に重要な(例:活動性)心血管疾患がある患者
  • 既知の脳転移がある患者
  • 別の原発性悪性腫瘍の既往がある患者。ただし、以下は除く
    根治を目的に治療を実施し、治験治療の初回投与5年以上活動性疾患が確認されず、再発のリスクが低い悪性腫瘍(早期乳がんに対して補助化学療法の投与歴がある患者については、組入れ3年前までに投与が完了したこと、および患者に再発または転移性病変が引き続き認められないことを条件に組入れ可とする)
    十分に治療され、疾患のエビデンスがない黒色腫以外の皮膚がんまたは悪性黒子
    十分に治療され、疾患のエビデンスがない上皮内悪性腫瘍
    子宮内膜がんステージ1A、グレード1またはグレード2
  • 過去のがん治療による毒性(グレード2を超える毒性)が持続している患者
  • オラパリブ、デュルバルマブ、または添加物に対する過敏症の既往歴を有する患者
  • 授乳中である患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称新たに診断された進行卵巣癌患者を対象として、デュルバルマブと化学療法及びベバシズマブとの併用投与後にデュルバルマブ、ベバシズマブ及びオラパリブを維持療法として投与する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験
試験の概要本治験は、進行卵巣癌と新たに診断された患者を対象として、白金製剤を含む標準化学療法とベバシズマブ及びデュルバルマブの併用投与後に、維持療法としてベバシズマブとデュルバルマブを併用投与した場合、又はベバシズマブとデュルバルマブ及びオラパリブを併用投与した場合の有効性及び安全性を評価する、無作為化二重盲検多施設共同第III相試験である
疾患名進行卵巣癌
試験薬剤名ベバシズマブ、デュルバルマブ、オラパリブ、プラセポ オラパリブ、デュルバルマブ プラセポ、カルボプラチン+パクリタキセル
用法・用量実薬対照群:治療群1 白金製剤を含む化学療法、ベバシズマブとデュルバルマブプラセボ(生理食塩液の点滴静注)を併用し、その後維持療法としてベバシズマブ、デュルバルマブプラセボ(生理食塩液の点滴静注)とオラパリブプラセボ(錠剤)を投与する。 試験群:治療群2 白金製剤を含む化学療法、ベバシズマブとデュルバルマブを併用し、その後維持療法としてベバシズマブ、デュルバルマブとオラパリブプラセボを投与する 試験群:治療群3 白金製剤を含む化学療法、ベバシズマブとデュルバルマブを併用し、その後維持療法としてベバシズマブ、デュルバルマブとオラパリブを投与する。試験群: tBRCA変異陽性コホート 白金製剤を含む化学療法、ベバシズマブとデュルバルマブを併用し、その後維持療法としてベバシズマブ、デュルバルマブとオラパリブを投与する。 ベバシズマブの投与は実施医療機関の標準手順によって任意である
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化並行群間
目標症例数
適格基準
  • high grade漿液性癌、high grade類内膜癌、卵巣明細胞癌、又は癌肉腫を含む進行(FIGO分類ステージIII又はIV)high grade上皮性卵巣癌(原発性腹膜癌、及び/又は卵管癌を含む)と新たに診断され、組織学的に確認された女性患者
  • 年齢が18歳以上である患者
  • 以下のいずれかに該当する患者。初回腫瘍減量術又は、化学療法と化学療法期間中の腫瘍減量手術との併用が計画されている
  • 腫瘍組織のBRCA1/2変異の有無が明らかになっている患者
  • 中央検査機関でのtBRCA変異検査のため腫瘍サンプルを提供できること
  • ECOG performance statusが0又は1の患者
  • 臓器及び骨髄機能が正常である患者
  • 閉経後の女性、又は妊娠可能な女性の場合には妊娠していないことを示すエビデンスが認められる患者:尿又は血清妊娠検査が陰性
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:女性
除外基準
  • 上皮性以外の卵巣癌、境界悪性腫瘍、low grade上皮腫瘍、又は粘液性組織像を有する患者
  • 卵巣癌に対して全身抗癌療法の治療歴を有する患者
  • BRCAに病的変異又は病的と疑われる変異の有無が判定できなかった患者
  • PARP阻害剤の投与歴、又は免疫介在療法の投与歴がある患者
  • 腹腔内細胞傷害性化学療法が予定されている患者
  • 現在又は過去に、自己免疫疾患又は炎症性疾患が確認された患者
  • 重度、コントロールできない併発疾患を有し、医学的リスクが高い患者
  • 臨床的に重要な(例:活動性)心血管疾患を有する患者
  • 既知の脳転移がある患者
  • 別の原発性悪性腫瘍の既往がある患者。ただし、以下は除く
    根治を目的に治療を実施し、治験治療の初回投与5年以上活動性疾患が確認されず、再発のリスクが低い悪性腫瘍(早期乳癌に対して補助化学療法の投与歴がある患者については、組入れ3年前までに投与が完了したこと、及び患者に再発又は転移性病変が引き続き認められないことを条件に組入れ可とする)
    十分に治療され、疾患のエビデンスがない黒色腫以外の皮膚癌又は悪性黒子
    十分に治療され、疾患のエビデンスがない上皮内悪性腫瘍
    子宮内膜癌FIGO分類ステージIA、グレード1又はグレード2
    過去の癌治療による毒性(CTCAEグレード2を超える毒性)が持続している患者
  • オラパリブ、デュルバルマブ、又は添加物に対する過敏症の既往歴を有する患者
  • 授乳中である患者
主要な評価項目
主要な評価方法
副次的な評価項目
副次的な評価方法
予定試験期間

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより