局所進行・転移性の膵臓がんに対するナノプラチンの治験
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治験名
局所進行または転移性膵がん患者を対象としたナノプラチン/ゲムシタビン併用療法とゲムシタビン単剤療法の第3相オープン比較試験
治験概要:
局進行・転移性の膵臓がんに対する治験。全身性の化学療法歴および放射線治療歴がない患者さんが対象です。
ナノプラチン+ゲムシタビン併用療法とゲムシタビン単独療法を比較して、全生存期間で評価する臨床試験です。
登録予定数は400人。
試験デザインは、ランダム化、パラレル割当、オープンラベル。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較する対象は。
試験群:ナノプラチン+ゲムシタビン併用
対照群:ゲムシタビン単独
で主要評価項目は全生存期間、副次的な評価項目は、無増悪生存期間などで評価します。
疾患解説:膵臓がん
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に膵臓がんに罹患した人は、男性18654人女性17585人、合計36239人です。50代後半から増えはじめ、男性は70代をピークにその後は減少していきます。 膵臓がんの約90%は、膵管の細胞から発生する膵管がんです。このほか、神経内分泌腫瘍や膵管内乳頭粘液性腫瘍があります。 膵臓は体内の奥にあるため、がんが発生しても症状が出にくく早期発見が難しいがんです。進行してくると腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こりますが、膵臓がんに限った症状ではないため、膵臓がんになっても症状が現れないこともあります。そのため進行してから発見されることも多く、全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2017年5月)によれば5年生存率は、ステージ1で41.2%、ステージ2で18.3%、ステージ3で6.2%、ステージ4で1.4%と予後の悪いがんとして知られています。
治験薬:ナノプラチン
ナノプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。ナノプラチンは、シスプラチンの副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる薬の開発を目指し、新規のブロックポリマーと結合させた化合物です。がん細胞への蓄積性、腎臓への障害、神経障害が軽減された白金製剤です。
治験薬:ゲムシタビン
ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。
細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。
ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。
ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。
ECOG パフォーマンスステータス
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 | |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 | |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 | |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 | |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 | |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない | |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 | |
10 | 死期が切迫している | |
0 | 死 |
WHO パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 |
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0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 局所進行性又は転移性膵癌患者を対象としたNC-6004/ゲムシタビン併用療法とゲムシタビン単剤療法の第III相オープン比較試験 |
試験の概要 | 抗がん剤又は放射線による治療歴のない膵癌患者(術後補助療法を行った患者でも対象となる場合もある)を対象に、NC-6004とゲムシタビンの併用療法又はゲムシタビンの単独療法に無作為に1対1に割り付けを行い、NC-6004とゲムシタビンの併用療法について、ゲムシタビン単独療法と比較して、全生存期間における優越性を検証する |
疾患名 | 局所進行性又は転移性膵癌患者 |
試験薬剤名 | ナノプラチン |
用法・用量 | 3週間を1サイクルとして、各サイクルの1日目に90mg/m2を60分以上かけて点滴静注する |
試験薬剤名 | ゲムシタビン |
用法・用量 | 3週間を1サイクルとして、各サイクルの1日目及び8日目に1000mg/m2を30分以上かけて点滴静注する |
対照薬剤名 | ゲムシタビン |
用法・用量 | 4週間を1サイクルとして、各サイクルの1日目、8日目及び15日目に1000mg/m2を30分以上かけて点滴静注する |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | |
目標症例数 | |
適格基準 |
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除外基準 | |
主要な評価項目 | |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 |