進行膵臓がんに対するカビラリズマブ+ニボルマブ併用の治験

治験名

進行膵がん患者を対象に、化学療法の併用および非併用下でカビラリズマブとニボルマブを併用投与する第2 相試験

治験概要:

局所進行または転移性の膵臓がんに対する治験。遠隔転移の治療で1次治療の全身化学療法中または終了後に病勢進行した患者さんが対象です。 化学療法とカビラリズマブ+ニボルマブを併用投与したときに有効性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、160人。 フェーズは、第2相臨床試験。 比較対象は、 試験群1:カビラリズマブ+ニボルマブ 試験群2:カビラリズマブ+ニボルマブ+ゲムシタビン+ナブパクリタキセル 試験群3:カビラリズマブ+ニボルマブ+オキサリプラチン+5フルオロウラシル、ロイコボリン 対照群:医師が選択した化学療法(ゲムシタビン/ナブパクリタキセルまたは5フルオロウラシル/ロイコボリン/イリノテカン) で主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は奏効率、奏功期間中央値、全生存率などで評価します。

疾患解説:膵臓がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に膵臓がんに罹患した人は、男性18654人女性17585人、合計36239人です。50代後半から増えはじめ、男性は70代をピークにその後は減少していきます。 膵臓がんの約90%は、膵管の細胞から発生する膵管がんです。このほか、神経内分泌腫瘍や膵管内乳頭粘液性腫瘍があります。 膵臓は体内の奥にあるため、がんが発生しても症状が出にくく早期発見が難しいがんです。進行してくると腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こりますが、膵臓がんに限った症状ではないため、膵臓がんになっても症状が現れないこともあります。そのため進行してから発見されることも多く、全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2017年5月)によれば5年生存率は、ステージ1で41.2%、ステージ2で18.3%、ステージ3で6.2%、ステージ4で1.4%と予後の悪いがんとして知られています。

治験薬:カビラリズマブ

カビラリズマブは、マクロファージや骨髄細胞系細胞の細胞表面に発現しているCSF-1Rを標的とした抗CSF-1R抗体です。 悪性腫瘍は、がん細胞だけではなく正常な細胞も含めて構成されており、がん細胞と正常細胞が情報交換しながら、がん細胞の増殖を助けたり、免疫反応を抑制しています。これを腫瘍微小環境といいます。腫瘍微小環境では、マクロファージの一部が腫瘍促進性に変化し、がん細胞を攻撃するT細胞に対して免疫抑制因子で、T細胞を不活性化させます。がん細胞は、マクロファージの分化や機能を調整する因子であるCSF-1を介して、腫瘍促進性へマクロファージの分化を促進させます。 カビラリズマブは、CSF-1に対す抗体CSF-1Rを阻害することで、腫瘍促進性マクロファージを抑制し、T細胞の不活性化を防ぐ働きをします。

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

対照薬:ゲムシタビン

ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。 細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。 ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。 ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。

対照薬:ナブパクリタキセル

ナブパクリタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬であるパクリタキセルと人血清アルブミンを結合させ、ナノ粒子化した抗がん薬です。 タキサン系は水に溶けにくいため、無水エタノール(アルコール)を含んだ液体に溶かして使用されますが、ナブパクリタキセルは、溶けやすくアルコールも使わないため、アレルギー様症状も起こりにくいという特徴があります。 薬の作用は、パクリタキセルと同様、細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。 アルコールを使わないため、投与量を多くすることができますが、その分関節痛や筋肉痛、末梢神経障害などの副作用が出やすい傾向があります。

対照薬:オキサリプラチン

オキサリプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。 薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。オキサリプラチンは、第2世代の白金製剤にさらに改変が行われ、新たな適応を獲得した第3世代の白金製剤です。

対照薬:フルオロウラシル

フルオロウラシルは、DNAの合成阻害、RNAの機能障害によるがん細胞を細胞死に誘導する代謝拮抗薬です。 DNAを構成する主な成分はピリミジン塩基といわれ、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどです。フルオロウラシルは、このピリミジン塩基と似たような構造で、DNAが合成されるときにピリミジン塩基の代わりに取り込まれることで、DNA合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。

対照薬:ロイコボリン

ロイコボリンは、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する薬です。 フルオロウラシルは、DNAの合成阻害、RNAの機能障害によるがん細胞を細胞死に誘導する代謝拮抗薬です。 DNAを構成する主な成分はピリミジン塩基といわれ、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどです。フルオロウラシルは、このピリミジン塩基と似たような構造で、DNAが合成されるときにピリミジン塩基の代わりに取り込まれることで、DNA合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。 ロイコボリンは、体内でフルオロウラシルの代謝活性物質と強固な複合体を作り、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強します。

対照薬:イリノテカン

イリノテカンは、トポイソメラーゼというDNAの複製に必要な酵素を阻害する抗がん薬です。 細胞が増殖する場合、DNAの複製が必要なため、その複製に必要な酵素を阻害することで、細胞死を誘導します。 がん細胞では、活発な増殖が起こっているため、DNA複製に必要なトポイソメラーゼを阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 局所進行または転移性の膵腺がんの診断が組織学的または細胞学的に確認されており、遠隔転移の治療において1 次治療の全身化学療法の施行中または施行後に病勢進行が認められた患者
  • 全身状態(Performance status:PS)が1 以下の患者
  • 測定可能病変がある患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 中枢神経系転移が疑われるまたは確認されている患者
  • 活動性の自己免疫疾患があることが確認されたまたは疑われる患者
  • コントロール不良または重大な心血管疾患の患者
  • immune cell-modulating antibodyを含むレジメンの曝露歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 進行膵癌患者を対象に、化学療法の併用及び非併用下でCabiralizumab(BMS-986227、FPA008)とニボルマブ(BMS-936558)を併用投与する第2 相試験
試験の概要 進行膵癌患者を対象に、化学療法の併用及び非併用下でCabiralizumabとニボルマブを併用投与した場合の有効性を評価すること
疾患名 進行膵癌
試験薬剤名 BMS-986227、ニボルマブ
用法・用量 規定されたタイミングで規定された用量を投与
試験薬剤名 BMS-986227、ニボルマブ、ゲムシタビン、ナブパクリタキセル
用法・用量 規定されたタイミングで規定された用量を投与
試験薬剤名 BMS-986227、ニボルマブ、オキサリプラチン、5フルオロウラシル、ロイコボリン
用法・用量 規定されたタイミングで規定された用量を投与
対照薬剤名 治験責任(分担)医師が選択した化学療法(ゲムシタビン/ナブパクリタキセルまたは5フルオロウラシル/ロイコボリン/イリノテカン塩酸塩)
用法・用量 規定されたタイミングで規定された用量を投与
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン ランダム化オープンラベル第2 相臨床試験
目標症例数 160
適格基準
  • 局所進行又は転移性の膵腺癌の診断が組織学的又は細胞学的に確認されており、遠隔転移の治療において1 次治療の全身化学療法の施行中又は施行後に病勢進行が認められた患者
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)が1 以下の患者
  • 臓器機能が十分な患者
  • 測定可能病変を有する患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 中枢神経系転移が疑われる又は確認されている患者
  • 活動性の自己免疫疾患を有することが確認された又は疑われる患者
  • コントロール不良又は重大な心血管疾患の患者
  • immune cell-modulating antibodyを含むレジメンの曝露歴を有する患者
主要な評価項目 無増悪生存期間中央値(mPFS)
主要な評価方法
副次的な評価項目 AE、SAE、投与中止に至ったAE、死亡及び臨床検査値異常の発現 PK パラメータ 奏効率(ORR) 奏効期間中央値( MDOR ) 全生存率(OSR)
副次的な評価方法
予定試験期間 2017年12月1日~2020年12月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより