局所進行性または転移性腎細胞がんに対するペムブロリズマブ+アキシチニブの治験
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治験名
KEYNOTE-426
局所進行性または転移性腎細胞がん患者を対象とし、1次治療としてのペムブロリズマブとアキシチニブの併用投与とスニチニブ単剤投与における有効性および安全性を比較する無作為化非盲検第3相試験治験概要:
局所進行性または転移性腎細胞がんに対する治験。全身性の治療を受けていない淡明細胞型の患者さんが対象です。 1次治療としてペムブロリズマブ+アキシチニブ併用療法とスニチニブ単剤を比較して、無増悪生存期間、全生存期間、奏効率、疾患コントロール率、奏効期間、安全性、忍容性などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、840人。 フェーズは、3相臨床試験。 試験デザインは、無作為化非盲検試験。 試験群:ペムブロリズマブ+アキシチニブ併用療法 対照群:スニチニブ単剤 無増悪生存期間、全生存期間、奏効率、疾患コントロール率、奏効期間、安全性、忍容性などで評価します。疾患解説:腎臓がん
腎臓がんは、腎臓の腎実質と呼ばれる細胞ががん化した悪性腫瘍です。腎がん研究会の2002年の調査によると、人口10万人に対して男性8.2人、女性3.7人と男性に多く、年々増加傾向です。50歳代から増え始め、70歳代まで高齢になるほど罹患数は多くなります。 腎臓がんの発生原因は、喫煙と肥満といわれており、腎臓がんの予防では、禁煙と肥満にならないようなバランスのいい食事や運動が効果的だとの日本人を対象とした研究報告もあります。 腎臓がんは、あまり自覚症状がなく、約70%の人が症状のない段階で発見されています。自覚症状として多く見られるのが、血尿、背中や腰の痛み、腹部のしこり、足のむくみ、食欲不振、体重減少、吐き気、便秘、腹痛などさまざまです。 腎臓がんは、がんの組織の違いでいくつかのタイプがり、混在していることもあります。最も多くみられる組織型は「淡明細胞型腎細胞がん」で、全体の約70~85%を占めます。そのほかに、多房嚢胞性腎細胞がん、乳頭状腎細胞がん、嫌色素性腎細胞がん、紡錘細胞がん、集合管がんなどがあります。 腎臓がんの組織型は、治療選択の判断材料の1つで、組織型の違いによって病気の進行や予後が異なります。腎臓がんの組織型分類
淡明細胞型腎細胞がん |
多房嚢胞性腎細胞がん |
乳頭状腎細胞がん |
嫌色素性腎細胞がん |
集合管がん |
腎髄質がん |
Xp11.2転座型腎細胞がん |
神経芽腫随伴腎細胞がん |
粘液管状紡錘細胞がん |
紡錘細胞がん |
腎細胞がん、分類不能型 |
腎臓がん進行度
T1a | 腎細胞がんの直径が4cm以下で腎臓にとどまる |
T1b | 腎細胞がんの直径が4cmを超え、7cm以下で腎臓にとどまる |
T2a | 腎細胞がんの直径が7cmを超え、10cm以下で腎臓にとどまる |
T2b | 腎細胞がんの直径が10cmを超えて腎臓にとどまる |
T3a | 腎細胞がんが腎静脈または周囲の脂肪組織に及ぶがゲロタ筋膜※を超えない |
T3b | 腎細胞がんが横隔膜より下の大静脈内に広がっている |
T3c | 腎細胞がんが横隔膜より上の大静脈内に広がる、または大静脈壁まで及ぶ |
T4 | 腎細胞がんがゲロタ筋膜※を超えて広がる(同じ側の副腎まで及ぶ場合を含む) |
※ゲロタ筋膜:腎臓を覆っている一番外側の膜 出典:日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会,編:泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約第4版.2011年,金原出版より作成
治験薬:ペムブロリズマブ
ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
治験薬:アキシチニブ
アキシチニブは、血管新生に関与する血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)を標的とした分子標的薬です。 VEGFR1、2、3を阻害することで、血管新生の主流を集中的に阻害し、血管新生とリンパ管申請を抑制し、がん細胞の増殖と転移を抑えます。対照薬:スニチニブ
スニチニブは、血管新生に関与する血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、腫瘍増殖に関与する血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、幹細胞因子受容体(KIT)、マクロファージコロニー刺激因子受容体(CSF-1R)、FMS様チロシンキナーゼ-3受容体(FLT-3)、ret前がん遺伝子(RET)などの受容体を標的にした分子標的薬です。 さまざまな受容体をマルチターゲットに阻害して、血管新生、腫瘍増殖などを抑制します。主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータスPS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータススコア | 患者の状態 | |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 | |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 | |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 | |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 | |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない | |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 | |
10 | 死期が切迫している | |
0 | 死 |
スコア | 患者の状態 |
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0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 局所進行性又は転移性腎細胞癌(mRCC)患者を対象とし、1次治療としてのMK-3475とアキシチニブの併用投与とスニチニブ単剤投与における有効性及び安全性を比較する無作為化非盲検第III相試験(KEYNOTE-426) |
試験の概要 | 本試験の目的: 進行/転移性腎細胞癌(mRCC)患者を対象とし、1次治療としてのMK-3475とアキシチニブの併用投与とスニチニブ単剤投与における有効性及び安全性を評価する 本試験の主要仮説: 1)MK-3475とアキシチニブの併用投与は、盲検下の独立中央画像判定機関(BICR) がRECIST 1.1に基づき判定した無増悪生存期間(PFS) において、スニチニブ単剤投与に対し優越性を示す 2)MK-3475とアキシチニブの併用投与は、全生存期間(OS) においてスニチニブ単剤投与に対し優越性を示す |
疾患名 | 腎細胞癌 |
試験薬剤名 | MK-3475 |
用法・用量 | MK-3475 200mg 3週間間隔静脈内投与とアキシチニブ5mg 1日2回経口投与の併用 |
試験薬剤名 | スニチニブ |
用法・用量 | スニチニブ50mg 1日1回投与(4週間投与後2週間休薬) |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 無作為化非盲検試験 |
目標症例数 | 840 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 無増悪生存期間(PFS) 全生存期間(OS) |
主要な評価方法 | MK-3475とアキシチニブを併用投与した際の、盲検下の独立中央画像判定機関(BICR) がRECIST 1.1に基づき判定した無増悪生存期間(PFS)を、約2年間スニチニブ単剤投与と比較し評価する MK-3475とアキシチニブを併用投与した際の全生存期間(OS)を、約39か月間スニチニブ単剤投与と比較し評価する |
副次的な評価項目 | 奏効率(ORR) 疾患コントロール率(DCR) 奏効期間(DOR) 安全性及び忍容性 |
副次的な評価方法 | 奏効率(ORR)、疾患コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)を評価する(約2年間) 有害事象が発現した患者数を評価する(約39ヵ月) 有害事象のため治験薬投与を中止した患者数を評価する(約39ヵ月) |
予定試験期間 | 2016年10月1日~2020年7月1日 |