腎臓がんに対するニボルマブとイピリムマブの併用療法に関する治験

治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム外部リンク」ページでご確認ください。

上記ページにアクセスし、条件欄から「研究の名称」を選択、このページの「試験概要詳細」の「試験の名称」をコピーして、キーワード欄に貼り付け、検索してください。

治験名

CheckMate 914: CHECKpoint pathway and nivoluMAb clinical Trial Evaluation 914

組織型が主に淡明細胞型の限局性腎細胞がんで腎摘除術を受けた患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群とプラセボの点滴投与群を比較する治験

治験概要:

組織型が主に淡明細胞型の限局性腎細胞がんで腎臓の摘出手術を受けた患者さんを対象とした治験です。
登録予定数は800人。
試験デザインは、ランダム化二重盲検第3相臨床試験。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較する対象グループは、
・ニボルマブとイピリムマブの併用療法群
・プラセボの点滴投与群
上記グループの無病生存期間を比較。

疾患解説:腎細胞がん

腎臓は尿を作る賢実質とよばれる部分と尿が集まる腎盂と呼ばれる部分からできています。腎臓にできるがんの約90%は腎実質にある細胞ががん化したもので、腎細胞がんともいいます。
腎癌研究会の調査によると、2002年にあらたに腎臓がんと診断された人は男性5063人、女性2342人、合計7405人という報告があり、男性に多く年々増加傾向にあります。
腎臓がんは、さまざまな組織型があります。もっとも多い組織型が淡明細胞がんというタイプで、腎臓がんの約80%を占めています。10~15%を占める乳頭状腎細胞がんや5~10%を占める嫌色素性細胞がんや予後不良タイプの紡錘細胞がんや集合管がんは稀なタイプです。
腎臓がんの主な自覚症状は、がんが大きくなることで起こります。血尿や腰、背中などの痛み、腹部のしこり、体重減少、発熱、倦怠感などです。初期にはあまり特徴的な症状がないため、定期検診などでがんが小さいうちに偶然発見されることが多くあります。

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:イピリムマブ

イピリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 イピリムマブは、がん細胞を攻撃する活性化T細胞とT細胞を制御する制御性T細胞状に発現するCTLA-4と抗原提示細胞状に発現しているCD80とCD86との結合を阻害することで、がんを攻撃するT細胞を増強します。また、がん細胞を攻撃するT細胞を抑制する制御性T細胞を抑制することで、がん免疫反応を促進させます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 腎腫瘍が完全に切除されており、腎摘除術がランダム化の4週間以上前から12週間前までに行われている患者
  • 対がん米国合同委員会(AJCC)病期分類2010年版による病理学的なTNM病期分類が以下のいずれかである患者
    T2a、G3またはG4、リンパ節転移なし、遠隔転移なし(N0M0)
    T2b、グレードを問わない、リンパ節転移なし、遠隔転移なし(N0M0)
    T3、グレードを問わない、リンパ節転移なし、遠隔転移なし(N0M0)
    T4、グレードを問わない、リンパ節転移なし、遠隔転移なし(N0M0)
    Tを問わない、グレードを問わない、リンパ節転移あり、遠隔転移なし(N1M0)
    ※グレードは、組織学的な悪性度のことで、数字が大きいほど悪性度が高いことを示します。
  • 腎摘除術後の腫瘍から、組織型が主に淡明細胞型のRCC(肉腫様型を含む)であることが認められる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 活動性の自己免疫疾患の合併や疑いのある患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査陽性または後天性免疫不全症候群(AIDS)の既往歴がある患者
  • 重度または重篤、急性または慢性の医学的状態もしくは精神状態または臨床検査値異常が認められ、治験への参加または治験薬の投与に伴うリスクが増大するおそれがある患者
  • 副腎皮質ステロイドによる全身治療が必要な疾患がある患者

腎臓がん進行度

T1a腎細胞がんの直径が4cm以下で腎臓にとどまる
T1b腎細胞がんの直径が4cmを超え、7cm以下で腎臓にとどまる
T2a腎細胞がんの直径が7cmを超え、10cm以下で腎臓にとどまる
T2b腎細胞がんの直径が10cmを超えて腎臓にとどまる
T3a腎細胞がんが腎静脈または周囲の脂肪組織に及ぶがゲロタ筋膜※を超えない
T3b腎細胞がんが横隔膜より下の大静脈内に広がっている
T3c腎細胞がんが横隔膜より上の大静脈内に広がる、または大静脈壁まで及ぶ
T4腎細胞がんがゲロタ筋膜※を超えて広がる(同じ側の副腎まで及ぶ場合を含む)

※ゲロタ筋膜:腎臓を覆っている一番外側の膜
出典:日本泌尿器科学会日本病理学会日本医学放射線学会,編:泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約第4版.2011年,金原出版より作成

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称 CheckMate 914: CHECKpoint pathway and nivoluMAb clinical Trial Evaluation 914
試験の概要腎摘除術を受け、組織型が主に淡明細胞型の限局性腎細胞がん患者において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群とプラセボの点滴投与群のBICR による無病生存期間(DFS)を比較する。
疾患名腎細胞がん
試験薬剤名ニボルマブ、イピリムマブ
用法・用量静脈内投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザインランダム化二重盲検第3相臨床試験
目標症例数800
適格基準
  • 腎腫瘍が完全に切除されており、腎摘除術がランダム化の4週間以上前から12週間前までに施行されている患者
  • 対がん米国合同委員会(AJCC)病期分類2010年版による病理学的なTNM病期分類が以下のいずれかである患者:
    pT2a、G3又はG4、N0M0
    pT2b、Gradeを問わない、N0M0
    pT3、Gradeを問わない、N0M0
    pT4、Gradeを問わない、N0M0
    pTを問わない、Gradeを問わない、N1M0
  • 腎摘除術後の腫瘍から、組織型が主に淡明細胞型のRCC(肉腫様型を含む)であることが認められる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 活動性の自己免疫疾患の合併又は疑いのある患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査陽性又は後天性免疫不全症候群(AIDS)の既往歴を有する患者
  • 重度又は重篤、急性又は慢性の医学的状態もしくは精神状態又は臨床検査値異常が認められ、治験への参加又は治験薬の投与に伴うリスクが増大するおそれがある患者
  • 副腎皮質ステロイドによる全身治療が必要な疾患を有する患者
主要な評価項目無病生存期間
主要な評価方法・全生存期間
・ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性及び忍容性
副次的な評価項目
副次的な評価方法
予定試験期間2017年7月~2023年7月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより