進行性胃腺がん・食道胃接合部腺がんを対象にペムブロリズマブとパクリタキセルを比較する治験
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治験名
プラチナ製剤及びフッ化ピリミジン系製剤による1次化学療法を受け疾患進行が認められた進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者を対象としたMK-3475とパクリタキセルを比較する非盲検無作為化第III相試験(KEYNOTE-061)
治験概要
この治験は、プラチナ製剤およびフッ化ピリミジン系製剤を含む化学療法を受け、疾患進行が認められた進行性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さんが対象です。治験の主要仮説は、PD-L1陽性の進行性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さんにMK-3475(ペムブロリズマブ)を投与した時、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が延長されることです。
疾患解説胃がん、食道胃接合部がん
国立がん研究センターのがん統計の2014年の全国推計値によると、胃がんにかかる人は、10万人あたり99.0人です。男性は、10万人あたり140.1人、女性は、60.2人で男性に多い傾向です。
胃がんは、早期には自覚症状があらわれることがあまりなく、進行しても無症状の場合もあり注意が必要です。胃がんの代表的な症状は、胃がんに特有なものではなく、胃の痛みや不快感、吐き気など、胃炎や胃潰瘍と似た症状です。
胃がんのほとんどは、腺がんです。細胞の分化度によって「分化型」と「未分化型」に分けられ、分化型は進行が緩やか、未分化型は進行が速いといわれます。未分化型は、特殊なタイプの胃がんの「スキルス胃がん」と誤解されることがありますが、未分化型であっても深達度の浅い早期がんである可能性もあり、逆に分化型でもあってもスキルス胃がんになる場合があります。
食道胃接合部がんは、食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部の上下2cmの範囲にできるがんです。リンパ節転移の広がりが、がんのできた場所によって異なるため、食道胃接合部がんという分類がされるようになってきています。
治験薬MK-3475(ペムブロリズマブ)
MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP) 」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。
試験詳細
試験の名称 | プラチナ製剤及びフッ化ピリミジン系製剤による1次化学療法を受け疾患進行が認められた進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者を対象としたMK-3475とパクリタキセルを比較する非盲検無作為化第III相試験(KEYNOTE-061) |
試験の概要 | 本治験は、プラチナ製剤及びフッ化ピリミジン系製剤を含む化学療法を受け疾患進行が認められた進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者が対象である。本治験の主要仮説はPD-L1陽性の進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者にMK-3475を投与した時、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)が延長されることである。 |
疾患名 | 進行性胃腺癌/食道胃接合部腺癌 |
試験薬剤名 | MK-3475 |
用法・用量 | MK-3475 200mg 3週間間隔 静脈投与 35回(約2年間)まで投与可能 |
対照薬剤名 | パクリタキセル |
対照薬用法・用量 | パクリタキセル 80mg/m2を各コース[28日間(4週間)]の1、8及び15日目に静脈投与 |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 無作為化実薬対照非盲検試験 |
目標症例数 | 720 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 中央画像判定機関が評価するPD-L1陽性患者の無増悪生存期間 |
主要な評価方法 | 治験開始から3年後までPD-L1陽性患者の無増悪生存期間を調査する |
主要な評価項目 | PD-L1陽性患者の全生存期間 |
主要な評価方法 | 治験開始から3年後までPD-L1陽性患者の全生存期間を調査する |
副次的な評価項目 | 中央画像判定機関が評価する全患者の無増悪生存期間 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで全患者の無増悪生存期間を調査する |
副次的な評価項目 | 全患者の全生存期間 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで全患者の全生存期間を調査する |
副次的な評価項目 | 治験担当医師が評価する無増悪生存期間 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで無増悪生存期間を調査する |
副次的な評価項目 | 中央画像判定機関が評価する無増悪生存期間 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで無増悪生存期間を調査する |
副次的な評価項目 | 治験担当医師が評価する増悪に至るまでの期間 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで増悪に至るまでの期間を調査する |
副次的な評価項目 | 中央画像判定機関が評価する増悪に至るまでの期間 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで増悪に至るまでの期間を調査する |
副次的な評価項目 | 治験担当医師が評価する奏効率 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで奏効率を調査する |
副次的な評価項目 | 中央画像判定機関が評価する奏効率 |
副次的な評価方法 | 治験開始から3年後まで奏効率を調査する |
予定試験期間 | 2015年6月~2019年3月 |