胃・食道胃接合部がんに対するペムブロリズマブ併用の治験

治験名

EYNOTE-659

進行性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者を対象とした1次治療としてのペムブロリズマブ、TS-1およびオキサリプラチンの併用療法とペムブロリズマブ、TS-1およびシスプラチンの併用療法の第2相試験

治験概要:

切除不能、局所進行性または転移性の胃腺がん、または食道胃接合部腺がんに対する治験。PD-L1発現陽性、HER2陰性の患者さんが対象です。
1次治療としてペムブロリズマブ+オキサリプラチン+TS-1併用療法とペムブロリズマブ+シスプラチン+TS-1併用療法を行い、奏効率で評価する臨床試験です。
登録予定数は、90人。
試験デザインは、非盲検。
フェーズは、第2相臨床試験。
試験群:ペムブロリズマブ+オキサリプラチン+TS-1併用療法
試験群:ペムブロリズマブ+シスプラチン+TS-1併用療法
で主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は奏功期間などで評価します。

疾患解説:胃がん 食道胃接合部がん

国立がん研究センターのがん統計の2013年の全国推計値によると、食道がんにかかる人は、10万人あたり17.9人です。男性は、10万人あたり31人、女性は、5.6人で男性に多い傾向です。
早期の食道がんではほとんど自覚症状がありませんが、がんの進行につれ、胸の違和感、食物の使える感じ、胆汁減少、胸や背中の痛み、声のかすれなどの症状が起こります。
日本人の食道がんの約半数は、食道の中央付近、次の食道の下部に多くでき、組織型は扁平上皮がんが90%以上で、腺がんは5%以下です。
食道の内側の粘膜から発生したがんは、粘膜下層、固有筋層、外膜へと浸潤していきます。粘膜内に留まるものを早期食道がん、粘膜下層までにとどまるものを表在食道がん、それ以上浸潤しているものを進行食道がんといいます。
食道胃接合部がんは、食道と胃のつなぎ目の食道胃接合部の上下2cmの範囲にできるがんです。リンパ節転移の広がりが、がんのできた場所によるため、食道胃接合部がんという分類がされるようになってきています。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:オキサリプラチン

オキサリプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。オキサリプラチンは、第2世代の白金製剤にさらに改変が行われ、新たな適応を獲得した第3世代の白金製剤です。

治験薬:シスプラチン

シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。

治験薬:S-1

S-1は、DNAを構成するピリミジン塩基という成分と同じ構造をもつ成分に変換される薬が配合された代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)です。テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3つの配合剤です。,br> テガフールは、体内で徐々にDNA合成やRNA機能障害を起こすフルオロウラシルに変換され細胞死に至らす作用があります。ギメラシルは、フルオロウラシルを分解する酵素を阻害しフルオロウラシルの血中濃度を維持させます。オテラシルカリウムは、消化管粘膜障害を軽減する作用があります。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • 切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんと診断された患者
  • PD-L1陽性が確認された患者
  • 治験担当医師により、測定可能病変があることが確認された患者
  • 過去の放射線治療の照射野内やその他の局所療法が影響する範囲に存在する病変は,増悪を示した場合に限り測定可能病変とすることができる
  • 妊娠の可能性がある女性患者の場合、治験薬最終投与後120日まで、適切な避妊法を実施することに同意する患者
  • 妊娠させる可能性のある男性患者の場合、治験薬投与開始から最終投与後120日まで、適切な避妊法を使用することに同意する患者
  • 適切な臓器機能が保持された患者
  • 年齢:18歳以上75歳以下
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 扁平上皮または未分化胃がんがある患者
  • HER2陽性の患者
  • 尿妊娠検査が陽性であった妊娠可能な女性
  • 切除不能な局所進行性または転移性胃がんまたは食道胃接合部がんに対する治療歴がある患者
  • 術前または術後補助化学療法は少なくとも登録6か月前までに完了していること
  • 尿検査が陽性である、または陰性が確定できない場合は、血清妊娠検査が必要となる
  • プラチナ系抗悪性腫瘍剤の投与歴がある患者
  • 登録前28日以内に大手術、切開生検または重大な外傷を受けた、もしくは治験期間中に大手術を受ける必要があると考えられる患者
  • 登録前14日以内に放射線療法を受けた患者
  • 過去5年以内に別の悪性腫瘍が進行したまたは別の悪性腫瘍に対して治療が必要であった患者
  • ただし、根治的治療を受けた皮膚基底細胞がんもしくは皮膚扁平上皮がん、または根治的切除術を受けた上皮内がんは除く
  • 活動性の中枢神経系への転移またはがん性髄膜炎がある患者
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患がある患者
  • 免疫不全症と診断された患者、または治験薬投与開始前7日以内に全身ステロイド療法や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • ステロイド投与が必要な肺臓炎の既往または活動性の肺臓炎がある患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症がある患者
  • 登録時にフルシトシンを使用している患者
  • グレード2以上の末梢性感覚ニューロパチーがある患者
  • コントロール不良な下痢がある患者
  • 登録前2週間以内にドレーンによる体腔液排液を要する胸水、腹水または心嚢液貯留がある患者
  • 治験担当医師の判断により、治験結果に影響を与える、患者の治験の完遂を妨げる、または患者の治験の参加が患者の利益とならないと考えられるあらゆる疾患、治療歴または臨床検査異常の既往または合併がある患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患または物質乱用障害がある患者
  • 妊娠中、授乳中またはスクリーニング時から治験薬の最終投与後120日までに、本人またはパートナーの妊娠を希望する患者
  • PD-1、PD-L1、PD-L2を標的とした抗体薬、もしくは他の刺激性または共阻害性T細胞受容体を標的とした薬剤の治療歴がある患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既往がある患者
  • 活動性のB型肝炎またはC型肝炎がある患者
  • 現時点で他の治験に参加し治験薬投与を受けている、もしくは治験薬投与開始前4週間以内に他の治験に参加し治験薬または治験用の医療機器を用いた、または用いている患者
  • 治験薬投与開始前30日以内に生ワクチンの投与を受けた患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌患者を対象とした1次治療としてのMK-3475、TS-1及びオキサリプラチンの併用療法とMK-3475、TS-1及びシスプラチンの併用療法の第II相試験(KEYNOTE-659
試験の概要本治験は、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)発現陽性及びヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)/neu陰性の進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者を対象に、胃がんの1次治療としてのPembrolizumab(MK-3475)+オキサリプラチン+TS-1の併用療法と、Pembrolizumab(MK-3475)+シスプラチン+TS-1の併用療法の奏効率(ORR)を推定する
疾患名胃癌
試験薬剤名Pembrolizumab + オキサリプラチン + TS-1(tegafur + gimeracil + oteracil potassium)
用法・用量Cohort 1:Pembrolizumab 200mg 固定用量 3週毎投与法(Q3W)+オキサリプラチン130mg/m2 Q3Wの静脈内投与+TS-1の1日2回14日間連続経口投与後7日間休薬
試験薬剤名Pembrolizumab + シスプラチン + TS-1(tegafur + gimeracil + oteracil potassium)
用法・用量Cohort 2:Pembrolizumab 200mg 固定用量Q3W+シスプラチン60mg/m2 Q3Wの静脈内投与+TS-1の1日2回14日間連続経口投与後7日間休薬
試験のフェーズフェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン非盲検
目標症例数90
適格基準
  • 登録時のEastern Cooperative Oncology Group (ECOG) Performance Statusが0又は1の患者
  • 組織学的又は細胞学的に切除不能な局所進行性又は転移性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌と診断された患者
  • 中央測定機関にてImmunohistochemistry(IHC)法によりPD-L1陽性が確認された患者
  • 治験担当医師により、RECIST 1.1に基づく測定可能病変を有することが確認された患者
  • 過去の放射線治療の照射野内やその他の局所療法が影響する範囲に存在する病変は,増悪を示した場合に限り測定可能病変とすることができる
  • 妊娠の可能性がある女性患者の場合、治験薬最終投与後120日まで、適切な避妊法を実施することに同意する患者
  • 妊娠させる可能性のある男性患者の場合、治験薬投与開始から最終投与後120日まで、適切な避妊法を使用することに同意する患者
  • 適切な臓器機能が保持された患者
  • 年齢:18歳以上75歳以下
  • 性別:両方
除外基準
  • 扁平上皮又は未分化胃癌を有する患者
  • HER-2/neu陽性の患者・割付け前72時間以内の尿妊娠検査が陽性であった妊娠可能な女性
  • 切除不能な局所進行性又は転移性胃癌又は食道胃接合部癌に対する治療歴を有する患者.術前又は術後補助化学療法は少なくとも登録6ヶ月前までに完了していること
  • 尿検査が陽性である、又は陰性が確定できない場合は、血清妊娠検査が必要となる
  • プラチナ系抗悪性腫瘍剤の投与歴がある患者
  • 登録前28日以内に大手術、切開生検又は重大な外傷を受けた、若しくは治験期間中に大手術を受ける必要があると考えられる患者
  • 登録前14日以内に放射線療法を受けた患者
  • 過去5年以内に別の悪性腫瘍が進行した又は別の悪性腫瘍に対して治療が必要であった患者
  • ただし、根治的治療を受けた皮膚基底細胞癌若しくは皮膚扁平上皮癌、又は根治的切除術を受けた上皮内癌は除く
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を有する患者
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者
  • 免疫不全症と診断された患者、又は治験薬投与開始前7日以内に全身ステロイド療法や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • ステロイド投与が必要な(非感染性の)肺臓炎の既往又は活動性の肺臓炎を有する患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
  • 登録時にフルシトシンを使用している患者
  • Grade 2以上の末梢性感覚ニューロパチーを有する患者
  • コントロール不良な下痢(水様便、薬剤での便通コントロールが困難である、Grade 2以上、排便回数5回/日以上等)を有する患者
  • 登録前2週間以内にドレーンによる体腔液排液を要する胸水、腹水又は心嚢液貯留を有する患者
  • 治験担当医師の判断により、治験結果に影響を与える、患者の治験の完遂を妨げる、又は患者の治験の参加が患者の利益とならないと考えられるあらゆる疾患[例:ジヒドロピリミジン脱水素酵素欠損症(DPD)であることが判明している]、治療歴又は臨床検査異常の既往又は合併を有する患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患又は物質乱用障害を有する患者
  • 妊娠中、授乳中又はスクリーニング時から治験薬の最終投与後120日までに、本人又はパートナーの妊娠を希望する患者
  • PD-1、PD-L1、PD-L2を標的とした抗体薬、若しくは他の刺激性又は共阻害性T細胞受容体を標的とした薬剤の治療歴を有する患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既往を有する患者
  • 活動性のB型肝炎又はC型肝炎を有する患者
  • 現時点で他の治験に参加し治験薬投与を受けている、若しくは治験薬投与開始前4週間以内に他の治験に参加し治験薬又は治験用の医療機器を用いた、又は用いている患者
  • 治験薬投与開始前30日以内に生ワクチンの投与を受けた患者
主要な評価項目奏効率
主要な評価方法中央画像判定機関が独立にRECIST 1.1に基づき評価した抗腫瘍効果を基に算出した奏効率(ORR)を評価する
副次的な評価項目奏効期間(DOR)
副次的な評価方法中央画像判定機関がRECIST 1.1及びiRECISTに基づき評価した抗腫瘍効果を基に算出した奏効期間(DOR)を評価する
予定試験期間2018/02/01~2020/12/31

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより