尿路上皮がんの術後補助化学療法としてニボルマブを投与する治験
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治験名
ONO-4538/BMS-936558第3相試験
高リスク浸潤性尿路上皮がん患者を対象に術後補助化学療法としてのニボルマブとプラセボを比較する多施設共同無作為化二重盲検第3相試験
治験概要:
浸潤性尿路上皮がんの根治的切除後に再発リスクが高い患者を対象とした治験。術後補助化学療法としての二ボルマブとプラセボ投与して比較する第3相臨床試験です。
登録予定数は640人。
試験デザインは、無作為化非盲検試験。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較する対象は
対象群1:ニボルマブ
対象群2:プラセボ
で主要評価項目は無病生存期間、副次的な評価項目は、非尿路上皮無再発生存期間、疾患特異的生存期間、全生存期間などで評価します。
疾患解説:尿路上皮がん
尿路がんは、膀胱、尿管、腎盂、尿道にできたがんの総称です。このうち最も発生頻度の高いのが、膀胱がんです。尿路がんの約95%は尿路上皮と呼ばれる粘膜から発生し、尿路上に多発したり、再発を繰り返すのが特徴です。尿路上皮組織から発生するがんを尿路上皮がんといいます。
厚生労働省大臣官房統計情報部の人口動態統計によると、膀胱がんによる死亡数は、2002年に5138人、2006年に6126人、2010年に6804人、腎盂がんによる死亡数は2002年に781人、2006年に1200に人、2010年に1558人、尿管がんの死亡数も2002年に852人、2006年に1105人、2010年に1593人と増加傾向にあります。
膀胱がんの主な自覚症状は、血尿と頻尿、排尿時の痛みなどがありますが、早期にはこうした症状がないこともあります。
腎盂・尿管がんで最も多い症状も血尿です。尿管がふさがったり、がんが周囲へ浸潤したばあいは、腰、背中、脇腹などに痛みがおこることがあり、尿管結石に似た症状が起こることがあります。
脳のむくみによるものは、頭痛、吐き気、意識障害などがあります。局所的脳の障害によるものは、障害された部分によって運動機能や感覚、思考、言語障害などさまざまな症状がおこります。
低リスク | 単発、初発、3cm未満、Ta、ローグレード、上皮内がん併発なしのすべてを満たす |
中リスク | Ta-1、ローグレード、上皮内がん併発なし、多発性あるいは大きさが3cm以上 |
高リスク | T1、ハイグレード、上皮内がん(上皮内がん併発も含む)、多発、再発のいずれかを含む |
出典:日本泌尿器学会,編:膀胱がん診療ガイドライン2015年版,医学図書出版,2015.

治験薬:ニボルマブ
ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIやUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。
試験概要詳細
試験の名称 | ONO-4538/BMS-936558第3相試験 |
試験の概要 | 浸潤性尿路上皮がんの根治的切除後に再発リスクが高い被験者において、術後補助化学療法としての二ボルマブ単剤又はプラセボ投与による無病生存期間(DFS)を評価する |
疾患名 | 尿路上皮がん |
試験薬剤名 | ニボルマブ |
用法・用量 | 静脈内投与 |
試験薬剤名 | プラセボ |
用法・用量 | 静脈内投与 |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 無作為化非盲検試験 |
目標症例数 | 640 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 無病生存期間 |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | 非尿路上皮無再発生存期間、疾患特異的生存期間、全生存期間など |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 | 2016年2月~2020年5月 |