再発/進行性転移性尿路上皮がんを対象にペムブロリズマブとパクリタキセル、ドセタキセルまたはビンフルニンを比較する治験

治験名

再発又は進行性転移性尿路上皮癌患者を対象とした、Pembrolizumab(MK-3475)とパクリタキセル、ドセタキセル又はVinflunineを比較する無作為化非盲検第III相試験

治験概要

この試験では、プラチナ製剤併用化学療法後に再発または進行した転移性または局所進行性/切除不能尿路上皮がん患者さんに、pembrolizumab(MK-3475、ペムブロリズマブ)もしくは、治験担当医師が選択したパクリタキセル、ドセタキセルまたはvinflunine(ビンフルニン)を無作為に割り付けます。
主要仮説は、MK-3475(ペムブロリズマブ)は、パクリタキセル、ドセタキセルまたはvinflunine(ビンフルニン)と比較し、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を、延長するというものです。

疾患解説尿路上皮がん

尿路がんは、膀胱、尿管、腎盂、尿道にできたがんの総称です。このうち最も発生頻度の高いのが、膀胱がんです。尿路がんの約95%は尿路上皮と呼ばれる粘膜から発生し、尿路上に多発したり、再発を繰り返すのが特徴です。尿路上皮組織から発生するがんを尿路上皮がんといいます。

厚生労働省大臣官房統計情報部の人口動態統計によると、膀胱がんによる死亡数は、2002年に5138人、2006年に6126人、2010年に6804人、腎盂がんによる死亡数は2002年に781人、2006年に1200に人、2010年に1558人、尿管がんの死亡数も2002年に852人、2006年に1105人、2010年に1593人と増加傾向にあります。

膀胱がんの主な自覚症状は、血尿と頻尿、排尿時の痛みなどがありますが、早期にはこうした症状がないこともあります。

腎盂・尿管がんで最も多い症状も血尿です。尿管がふさがったり、がんが周囲へ浸潤したばあいは、腰、背中、脇腹などに痛みがおこることがあり、尿管結石に似た症状が起こることがあります。

治験薬ペムブロリズマブ

MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 組織学的または細胞学的に腎盂、尿管、膀胱または尿道の尿路上皮がんと診断された患者さん。移行上皮がんおよび移行上皮がんと非移行上皮がんの混合型のいずれも組入れ可能ですが、混合型の場合は移行上皮がんが主な組織型でなければなりません
  • 一次治療のプラチナ製剤併用化学療法(シスプラチン、またはカルボプラチンなど)後に、再発または進行した尿路上皮がん患者さん
    -転移性または切除不能な局所進行性疾患に対する一次治療として、プラチナ製剤併用化学療法を受けた患者さん
    -限局性の筋層浸潤性尿路上皮がんに対する膀胱切除後にプラチナ製剤併用術後化学療法を受け、治療終了後12か月以内に再発/進行した患者さん
    -限局性の筋層浸潤性尿路上皮がんに対する膀胱切除前にプラチナ製剤併用術前化学療法を受け、治療終了後12か月以内に再発した患者さん
  • 転移性尿路上皮がんに対する前治療(全身化学療法)を二次治療まで受けた患者さん
  • 放射線照射を受けていない腫瘍の保存検体、または新たにコア生検もしくは切除生検により採取した検体をバイオマーカー解析のために提出できる患者さん
  • 測定可能病変のある患者さん
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)が0、1または2の患者さん
  • 適切な臓器機能が保持された患者さん
  • 妊娠する可能性がある女性患者さんは、尿または血清妊娠検査で陰性でなければなりません。また、治験期間中、MK-3475の最終投与後120日まで、またはパクリタキセル、ドセタキセル、もしくはビンフルニンの最終投与後180日まで、二重避妊法を使用する、外科的避妊手術を受ける、または異性間交渉を行わないことに同意しなければなりません
  • 男性患者さんは、治験薬の初回投与からMK-3475の最終投与後120日まで、またはパクリタキセル、ドセタキセル、もしくはビンフルニンの最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用することに同意しなければなりません
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:男女
対象とならない人
  • 根治目的の局所療法が適応となる患者さん
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に他の治験薬または医療機器を用いた臨床試験に参加した、または参加している患者さん
  • 免疫不全と診断された患者さん、または治験薬の初回投与前7日以内に全身性ステロイド療法または他の免疫抑制剤による治療を受けた患者さん
  • 治験薬の初回投与前4週間以内にモノクローナル抗体を用いたがんの治療を受けたか、4週間以上前に投与されたモノクローナル抗体製剤による毒性から回復していない患者さん
  • 治験薬の初回投与前2週間以内に化学療法、低分子の分子標的治療薬の投与または放射線療法を受けたか、前治療による毒性から回復していない患者さん
  • 対照群で使用可能なすべての治療薬の前治療歴のある患者さん
  • 進行性または治療を要する別の悪性腫瘍のある患者さん。ただし、皮膚の基底細胞がん、根治的治療を受けた皮膚の扁平上皮がん、および子宮頚部上皮内がんの患者さんは除きます。また、膀胱がんに対する膀胱前立腺摘除後に偶然発見された前立腺がんの患者さんは、ステージT2N0M0以下、Gleasonスコア6以下、かつPSA検出不能の基準を満たす場合、組入れ可能です
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移またはがん性髄膜炎を併発している患者さん
  • 過去3か月以内に全身治療を要した活動性の自己免疫疾患を合併しているか、臨床的に重度の自己免疫疾患の既往歴のある患者さん、および全身性のステロイド治療や免疫抑制剤を必要とする疾患のある患者さん
  • 活動性心疾患のある患者さん
  • 間質性肺疾患または活動性の非感染性肺臓炎の徴候のある患者さん
  • 全身治療を必要とする活動性の感染症のある患者さん
  • パクリタキセルまたはポリオキシエチレンヒマシ油を含有する他の薬剤、ドセタキセルまたはポリソルベート80を含有する他の薬剤、あるいはビンフルニンまたは他のビンカアルカロイドに対する重度の過敏症反応の既往のある患者さん
  • 強力なCYP3A4阻害薬または誘導薬による治療を必要とする患者さん
  • 妊娠中、授乳中の患者さん、またはスクリーニング来院からMK-3475の最終投与後後120日まで、またはパクリタキセル、ドセタキセル、もしくはビンフルニンの最終投与後180日までの治験期間中に本人またはパートナーの妊娠を希望する患者さん
  • 抗PD-1薬、抗PD-L1薬、または他の共抑制性T細胞受容体を標的とする薬剤による治療歴のある患者さん
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染のある患者さん
  • 活動性のB型肝炎またはC型肝炎のある患者さん
  • 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを投与した患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

全身状態(Performance Status)は、患者さんが自分で身のまわりのことをどこまでこなせるかを表す尺度です。ECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンス ステータス(ECOG PS)

ECOG Performance Statusは、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称再発又は進行性転移性尿路上皮癌患者を対象とした、Pembrolizumab(MK-3475)とパクリタキセル、ドセタキセル又はVinflunineを比較する無作為化非盲検第III相試験
試験の概要プラチナ製剤併用化学療法後に再発又は進行した転移性又は局所進行性/切除不能尿路上皮癌患者に、pembrolizumab(MK-3475)もしくは、治験担当医師が選択したパクリタキセル、ドセタキセル又はvinflunineを無作為に割り付ける。 本試験の主要仮説は、MK-3475は、パクリタキセル、ドセタキセル又はvinflunineと比較し、全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)を、延長することである。
疾患名尿路上皮癌
試験薬剤名MK-3475
用法・用量MK-3475、200mgを3週間間隔で静脈内投与
対照薬剤名パクリタキセル
用法・用量パクリタキセル175mg/m^2を3週間間隔で静脈内投与
対照薬剤名ドセタキセル
用法・用量ドセタキセル75mg/m^2を3週間間隔で静脈内投与
対照薬剤名vinflunine
用法・用量vinflunine320mg/m^2を3週間間隔で静脈内投与、注:日本ではvinflunineは未承認のため、使用しない。
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化非盲検実薬対照試験
目標症例数470
適格基準
  • 組織学的又は細胞学的に腎盂、尿管、膀胱又は尿道の尿路上皮癌と診断された患者。移行上皮癌及び移行上皮癌と非移行上皮癌の混合型のいずれも組入れ可能であるが、混合型の場合は移行上皮癌が主な組織型でなければならない。
  • 一次治療のプラチナ製剤併用化学療法(シスプラチン、又はカルボプラチンなど)後に、再発又は進行した尿路上皮癌患者。
    -転移性又は切除不能な局所進行性疾患に対する一次治療として、プラチナ製剤併用化学療法を受けた患者。
    -限局性の筋層浸潤性尿路上皮癌に対する膀胱切除後にプラチナ製剤併用術後化学療法を受け、治療終了後12ヵ月以内に再発/進行した患者。
    -限局性の筋層浸潤性尿路上皮癌に対する膀胱切除前にプラチナ製剤併用術前化学療法を受け、治療終了後12ヵ月以内に再発した患者。
  • 転移性尿路上皮癌に対する前治療(全身化学療法)を二次治療まで受けた患者。
  • 放射線照射を受けていない腫瘍の保存検体、又は新たにコア生検若しくは切除生検により採取した検体をバイオマーカー解析のために提出できる患者。
  • 測定可能病変を有する患者。
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)が0、1又は2の患者。
  • 適切な臓器機能が保持された患者。
  • 妊娠する可能性がある女性患者は、尿又は血清妊娠検査で陰性でなければならない。また、治験期間中、MK-3475の最終投与後120日まで、又はパクリタキセル、ドセタキセル、若しくはvinflunineの最終投与後180日まで、二重避妊法を使用する、外科的避妊手術を受ける、又は異性間交渉を行わないことに同意しなければならない。
  • 男性患者は、治験薬の初回投与からMK-3475の最終投与後120日まで、又はパクリタキセル、ドセタキセル、若しくはvinflunineの最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用することに同意しなければならない。
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 根治目的の局所療法が適応となる患者。
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に他の治験薬又は医療機器を用いた臨床試験に参加した、又は参加している患者。
  • 免疫不全と診断された患者、又は治験薬の初回投与前7日以内に全身性ステロイド療法又は他の免疫抑制剤による治療を受けた患者。
  • 治験薬の初回投与前4週間以内にモノクローナル抗体を用いたがんの治療を受けたか、4週間以上前に投与されたモノクローナル抗体製剤による毒性から回復していない患者。
  • 治験薬の初回投与前2週間以内に化学療法、低分子の分子標的治療薬の投与又は放射線療法を受けたか、前治療による毒性から回復していない患者。
  • 対照群で使用可能なすべての治療薬の前治療歴を有する患者。
  • 進行性又は治療を要する別の悪性腫瘍を有する患者。ただし、皮膚の基底細胞癌、根治的治療を受けた皮膚の扁平上皮癌、及び子宮頚部上皮内癌の患者を除く。また、膀胱癌に対する膀胱前立腺摘除後に偶然発見された前立腺癌の患者は、ステージT2N0M0以下、Gleasonスコア6以下、かつPSA検出不能の基準を満たす場合、組入れ可能。
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を併発している患者。
  • 過去3ヵ月以内に全身治療を要した活動性の自己免疫疾患を合併しているか、臨床的に重度の自己免疫疾患の既往歴を有する患者、及び全身性のステロイド治療や免疫抑制剤を必要とする疾患を有する患者。
  • 活動性心疾患を有する患者。
  • 間質性肺疾患又は活動性の非感染性肺臓炎の徴候を有する患者。
  • 全身治療を必要とする活動性の感染症を有する患者。
  • パクリタキセル又はポリオキシエチレンヒマシ油を含有する他の薬剤、ドセタキセル又はポリソルベート80を含有する他の薬剤、あるいはvinflunin 又は他のビンカアルカロイドに対する重度の過敏症反応の既往を有する患者。
  • 強力なCYP3A4阻害薬又は誘導薬による治療を必要とする患者。
  • 妊娠中、授乳中の患者、又はスクリーニング来院からMK-3475の最終投与後後120日まで、又はパクリタキセル、ドセタキセル、若しくはvinflunineの最終投与後180日までの治験期間中に本人又はパートナーの妊娠を希望する患者。
  • 抗PD-1薬、抗PD-L1薬、又は他の共抑制性T細胞受容体を標的とする薬剤による治療歴を有する患者。
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染を有する患者。
  • 活動性のB型肝炎又はC型肝炎を有する患者。
  • 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを投与した患者。
主要な評価項目全生存期間
主要な評価方法30ヵ月までの全生存期間を調査する。
主要な評価項目固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)を用いた無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法30ヵ月までの固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)を用いた無増悪生存期間を調査する。
副次的な評価項目RECIST1.1を用いて評価した奏効率(ORR)
副次的な評価方法30ヵ月までのRECIST1.1を用いて評価した奏効率(ORR)を調査する。
副次的な評価項目modified RECIST 1.1を用いて評価したPFS
副次的な評価方法30ヵ月までのmodified RECIST 1.1を用いて評価したPFSを調査する。
副次的な評価項目modified RECIST1.1を用いて評価した奏効率(ORR)
副次的な評価方法30ヵ月までのmodified RECIST1.1を用いて評価した奏効率(ORR)を調査する。
予定試験期間2015年3月~2017年9月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより