がん免疫療法の種類

がん免疫療法の種類について、ご紹介します。

がんワクチン療法

がんワクチン療法とはどんな治療法なのか、種類と開発状況を紹介します。

がんペプチドワクチン

がんペプチドワクチン療法は、がん細胞の多くに存在する、がん細胞特有のタンパク質を、分解し断片化して「ペプチド」という状態にしたものを投与して、免疫反応を誘導する治療法です。

1991年に悪性黒色腫の抗原ペプチド「MAGE」が初めて同定され、キラーT細胞ががん細胞の表面に提示されたMAGEを認識することで、がん細胞を殺傷できることが示唆されました。これまでに同定された発現率の高いがん特異的な抗原は、「MAGE」、「gp100」、「WT1」、「NY-ESO-1」などがあります。しかし、がんワクチン療法単体で行われた臨床試験によって、臨床的に効果が認められたものはありません。

現在、免疫チェックポイント阻害薬との併用、がん細胞の遺伝子変異により新たに発生する抗原の一部である「ネオアンチゲン」を標的としたがんペプチドワクチン療法などの研究や臨床試験が進められていますが、まだ有効性や安全性に関してエビデンスが確立したものはありません。

腫瘍細胞ワクチン

腫瘍細胞ワクチン療法は、遺伝子改変した腫瘍細胞を投与する治療法です。例えば、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)を遺伝子導入した腫瘍細胞ワクチンは、体内に投与することでGM-CSFを産出します。GM-CSFは、がん細胞の周辺に樹状細胞を誘導することで、がん抗原特異的なキラーT細胞を活性化させ、がん細胞を攻撃します。この治療法も、研究、臨床試験段階であり、まだ安全性や効果が確認されていません。

樹状細胞ワクチン

樹状細胞ワクチン療法は、患者さんの血液から樹状細胞を採取し、がん細胞に多く存在するタンパク質を分解し断片化したペプチドを認識させてから培養し、再び患者さんの体内に戻す治療法です。採取した血液の中には、がん細胞を攻撃するリンパ球も含まれているため、体外で培養することで、樹状細胞だけでなくリンパ球も増殖・活性化することができます。活性化したリンパ球と樹状細胞を体内に戻し、さらに樹状細胞がリンパ球をより活性化させることで、がん細胞を攻撃しやすくなります。

樹状細胞ワクチン療法の一種であるSipuleucel-T(シプリューセル-T)は、2010年に去勢抵抗性前立腺がんに対して米国食品医薬品局から承認された初のがんワクチン療法です。患者さんから採取した樹状細胞と、前立腺がん抗原であるPAPとGM-CSFを融合させて1つのタンパク質としたものを一緒に培養し、体内へ戻すという治療法です。承認にあたって行われた臨床試験「IMPACT試験」の結果、Sipuleucel-T治療群の全生存期間の中央値は25.8か月、プラセボ群では21.7か月となり、Sipuleucel-T治療群における生存期間の延長が認められました。Sipuleucel-Tは、米国では承認されていますが、日本では承認されていません。また、ほかの樹状細胞ワクチン療法も含めて、日本で承認されたものはありません。

参考文献:日本臨床腫瘍学会編. ”がん免疫療法ガイドライン 第2版”.金原出版,2019.

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