【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年3月3日)

2025/03/03

文:がん+編集部

院内がん登録データを用いた2012年登録の10年生存率集計を公表

 国立がん研究センターは2025年2月13日、国が指定するがん診療連携拠点病院等を含む院内がん登録実施施設から収集した院内がん登録データを用いて、2012年登録の10年生存率集計結果を報告書にまとめて公表したと発表しました。

 院内がん登録2012年10年生存率の結果として、全がんの実測生存率は46.6%、純生存率は54.0%でした。

 生存率には、その目的と算出の仕方によっていくつかの種類があり、今回の報告では「実測生存率」と「純生存率」が用いられました。

 実測生存率は、死因に関係なく全ての死亡を計算に含めた生存率です。「がんと診断された100人の患者さんのうち、一定の期間(年)後に何人が生存しているのか」という考え方で算出されます。

 純生存率は、「がんだけが原因で亡くなる可能性」を示す指標です。「がんのみが死因となる状況」を仮定して、実測生存率から統計的手法を使って算出されます。

「免疫チェックポイント阻害薬+自然免疫応答活性化薬」、がん免疫治療の抵抗性メカニズムを解明

 国立がん研究センターは2025年2月14日、免疫チェックポイント阻害薬と自然免疫応答を活性化する薬剤との併用におけるがん免疫治療への抵抗性メカニズムを解明したことを発表しました。

 研究グループは、免疫チェックポイント阻害薬抗PD-1抗体と自然免疫応答を活性化する薬剤の1つ「OK-432」をマウスに投与し、多形核骨髄由来免疫抑制細胞と呼ばれる免疫抑制作用を持つ細胞群が、がん組織の内部へ集まり治療抵抗性に関与していることを明らかにしました。

 抗PD-1抗体とOK-432を併用する場合は、多形核骨髄由来免疫抑制細胞阻害薬を用いて3剤を併用することにより、治療抵抗性を克服できる可能性が示されました。

 今後のがん免疫併用療法の開発への展開が期待されます。

膵臓がんを胃カメラ検査で早期発見する診断法開発

 大阪大学は2025年2月20日、胃カメラ検査とともに、膵臓がんを早期発見する診断法の開発に成功したことを発表しました。

 今回、胃カメラの際に追加検査として、十二指腸乳頭部を洗浄して回収液中のKRAS遺伝子変異を検出するリキッドバイオプシーにより、高い診断精度で早期膵臓がんを診断できることが判明。これまで、膵臓がんの早期発見可能なスクリーニング検査はありませんでしたが、胃がん検診で行われる胃カメラの際に、同診断法を用いることで、早期に膵臓がんを発見できる可能性があります。

 膵臓がん克服において最も有益な早期発見・早期治療に貢献し、膵臓がん克服に向けた大きな一歩となることが期待されます。