ボシュリフ、慢性骨髄性白血病の一次治療薬として国内承認
2020/08/04
文:がん+編集部
ボスチニブ(製品名:ボシュリフ)が、慢性骨髄性白血病の一次治療薬の効能・効果で厚生労働省に承認されました。
ボシュリフ、初発の日本人患者さん対象の試験で優れた有効性を示す
ファイザーは6月29日、抗悪性腫瘍薬/チロシンキナーゼ阻害薬のボスチニブが、慢性骨髄性白血病を効能・効果とする医薬品製造承認事項一部変更申請の承認を取得したことを発表しました。適応追加により、慢性骨髄性白血病の一次治療薬として使用できるようになりました。今回の承認は、国際共同第3相BFORE試験および国内第2相B1871048試験の結果に基づくものです。
BFORE試験は、フィラデルフィア染色体陽性で慢性骨髄性白血病の慢性期患者さん536人を対象に、一次治療としてボスチニブとイマチニブ(製品名:グリベック)を比較した臨床試験です。主要評価項目は、原因遺伝子とされているBCR-ABL遺伝子レベルが0.1%未満に低下した状態の「分子遺伝学的効果(MMR)」の12か月時点の患者割合でした。試験の結果、MMR率はボスチニブ47.2%、イマチニブ36.9%でした。白血病細胞(フィラデルフィア染色体陽性の細胞)数が1%未満に低下した状態の「細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)」の12か月時点での割合は、ボスチニブ77.2%、イマチニブ66.4%でした。安全性に関しては、これまでの安全性プロファイルと一致していました。
B1871048試験は、フィラデルフィア染色体陽性で慢性骨髄性白血病の慢性期患者さん60人(日本人)を対象に、一次治療としてボスチニブを評価した臨床試験です。12か月時点のMMR率は55.0%で主要評価項目が達成されました。MMR、CCyRおよび移行期から急性転化期への移行率などについても一貫してBFORE試験と同様に良好な結果を示しました。安全性に関しては、これまでの安全性プロファイルと一致していました。
ファイザーR&D合同会社の石橋太郎社長は、次のように述べています。
「医学の進展により慢性骨髄性白血病患者さんの予後は大きく改善しましたが、依然として、初発の慢性骨髄性白血病に対する新たな治療選択肢のニーズは高い状況が続いています。ボシュリフはこれまで前治療薬に抵抗性または不耐容となった慢性骨髄性白血病患者さんの治療に貢献してまいりましたが、本日、慢性骨髄性白血病のファ―ストライン治療薬としても使用できることになったことを嬉しく思います。臨床試験の結果から、有効な治療選択肢となることが示されており、本剤を必要とする患者さんとご家族の福音となることを願っております。弊社はこれからも、患者さんのために革新的な薬剤の開発を進めてまいります」