独メルク、ASCO2021年次総会でがん治療薬に関する臨床試験の結果を発表
2021/06/29
文:がん+編集部
独メルク社は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)2021年次総会で、同社がもつがん治療薬に関する臨床試験の結果を発表。発表された治療薬は、アベルマブ(製品名:バベンチオ)、テポチニブ(製品名:テプミトコ)、セツキシマブ(製品名:アービタックス)、ビントラフスプ アルファです。
アンメット・メディカル・ニーズの高いがん種で、新たな標準治療となる可能性を示すデータ
独メルク社は5月19日、同社がもつがん治療薬に関する臨床試験の結果(口頭発表7本、ポスター発表7本を含む40本の概要)を、ASCO 2021年次総会で報告することを発表しました。
同社のヘルスケア・ビジネスのグローバル開発責任者であるDanny Bar-Zohar医師は、次のように述べています。
「ここ最近、アベルマブおよびテポチニブの承認取得につながった、尿路上皮がんおよび非小細胞肺がんを対象とした主要な臨床試験の新たな解析結果は、メルクの研究がアンメット・メディカル・ニーズの高いがん種で、新たな標準治療を推し進めていることを示しています。これらの解析に加えて、実施中の臨床試験における新たな作用機序を理解するための追加データは、患者さんに有意義な変化をもたらすがん治療の最先端科学に対してメルクが懸命に取り組んでいる最新の事例です」
発表された主なデータは、以下の通りです。
試験名:JAVELIN Bladder 100 試験
フェーズ:第3相
対象:進行性尿路上皮がん
解析結果:化学療法終了から維持療法開始までの無治療期間、病期、転移部位またはゲノムサブタイプによって定義される主要なサブグループ全体で、一次維持療法としてアベルマブは一貫した生存ベネフィットを示す
試験名:JAVELIN Bladder 101 試験
フェーズ:第3相
対象:進行性腎細胞がん
解析結果:「アベルマブ+アキシチニブ(製品名:インライタ)」併用療法を受けた患者さんの後続治療の効果を調査した結果、予後良好な患者さんを含む全ての患者さんで、有効性を確認
試験名:JAVELIN Bladder 200 試験
フェーズ:第2相
対象:転移性メルケル細胞がん
解析結果:前治療歴のある転移性メルケル細胞がん患者さんのアベルマブによる治療は、有意に長期全生存期間が見られ、48か月および 60か月時点の全生存率がそれぞれ 30%および26%
試験名:VISION試験
フェーズ:第2相
対象:METex14スキッピング変異のある非小細胞肺がん
解析結果:テポチニブ投与後の変異対立遺伝子頻度の減少が治療効果の改善と関連。また、リキッドバイオプシーによって耐性メカニズムを理解し、治療効果のモニタリング手段となる可能性を示す
試験名:VISION試験
フェーズ:第2相
対象:脳転移を伴うMETex14スキッピング変異のある非小細胞肺がん
解析結果:脳転移を伴うMETex14スキッピング変異がある非小細胞肺がん患者さんに対する有効性は、全治療患者さんと一致
試験名:VISION試験
フェーズ:第2相
対象:MET増幅を伴う非小細胞肺がん
解析結果:MET増幅は、非小細胞肺がん患者さんの約 1~5%に見られる遺伝子変異。特に未治療の患者さんで、MET増幅が影響する疾患を標的とするテポチニブの可能性を示す
試験名:JACCRO CC-13試験
フェーズ:第2相
対象:RAS 遺伝子野生型の転移性大腸がん
解析結果:一次治療として、「セツキシマブ+3剤」併用療法の方が「ベバシズマブ+3剤」併用療法よりも有意に深い奏効が認められた
試験名:AIO KRK-0116試験
フェーズ:第2相
対象:BRAF遺伝子陽性の転移性大腸がん
解析結果:一次治療としてセツキシマブとベバシズマブ間で同等の有効性を示す
試験名:TROG 12.01試験/De-ESCALaTE試験
フェーズ:第3相
対象:HPV陽性の口腔咽頭がん
解析結果:セツキシマブ+放射線治療を受けた患者さんの潜在的な予後バイオマーカーを特定
試験名:INTR@PID Solid Tumor 001 試験/NCI主導試験
フェーズ:第1相/第2相
対象:プラチナ製剤既治療かつ免疫チェックポイント阻害剤未使用の再発・転移性子宮頸がん
解析結果:ビントラフスプ アルファ単剤療法は、管理可能な安全性プロファイルと臨床効果を示す
試験名:NCI主導試験
フェーズ:第2相
対象:HPV16陽性の進行がん
解析結果:「ビントラフスプ アルファ+NHS-IL12+PDS0101」併用療法は、管理可能な安全性プロファイルと早期段階の臨床的有効性を示す