「イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法」、化学療法に比べ無増悪生存期間・全生存期間を延長

2021/10/19

文:がん+編集部

 ステージ4の非小細胞肺がんに対する治験で、「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+トレメリムマブ+化学療法」併用療法が、化学療法と比べて、統計学的有意に無増悪生存期間と全生存期間の延長を示しました。

「イミフィンジ+化学療法」にトレメリムマブの短期治療追加で、病勢進行または死亡リスク28%、死亡リスク23%低下

 アストラゼネカは9月22日、ステージ4の非小細胞がんの一次治療として「デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法」併用療法を評価したPOSEIDON試験の結果を発表しました。

 POSEIDON試験は、ステージ4の非小細胞肺がん患者さん1,013人を対象に一次治療として、「デュルバルマブ+化学療法」および「デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法」と化学療法を比較した第3相試験です。非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんで、全てのPD-L1発現レベルの患者さんが組み入れられ、EGFR遺伝子変異陽性、ALK遺伝子変異陽性の患者さんは対象外でした。

 デュルバルマブは、3週間ごとに4サイクル投与後、4週間ごとの維持療法が行われ、トレメリムマブは、3週間ごとに4サイクル投与後、16週目にも1回のみ追加投与が行われました。化学療法は、6サイクルを上限に実施されました。

 主要評価項目は「デュルバルマブ+化学療法」による治療を受けた患者さんの無増悪生存期間と全生存期間、重要な副次的評価項目は「デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法」を受けた患者さんの無増悪生存期間と全生存期間でした。

 「デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法」の治療を受けた患者さんでは、化学療法と比較して死亡リスクが23%、病勢進行または死亡リスクが28%低下し、統計学的な有意差が認められました。また、「デュルバルマブ+化学療法」の解析では、化学療法と比較して統計学的有意な無増悪生存期間の延長は認められましたが、全生存期間の延長は確認されませんでした。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3または4の有害事象の発現割合は、「デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法」併用療法で51.8%、「デュルバルマブ+化学療法」併用療法で44.6%、化学療法で44.4%でした。治療中止に至った有害事象の発現割合は、「デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法」併用療法で15.5%、「デュルバルマブ+化学療法」併用療法で14.1%、化学療法で9.9%でした。

 テネシー州ナッシュビルにあるSarah Cannon Research Instituteの肺がん研究プログラムのディレクターであり、Tennessee Oncology, PLLCで腫瘍内科医を務めるMelissa Johnson医師は次のように述べています。

 「転移性非小細胞肺がん患者さんに影響を与える残されたアンメットニーズにおいて、新しい併用療法、特にPD-L1発現レベルが低い患者さんにおける有効性を高め、CTLA-4の阻害で観察されてきた長期的な生存期間の延長を実現する可能性のある併用療法がますます重要になっています。POSEIDON試験の結果は、イミフィンジと化学療法にトレメリムマブを加えると、この疾患における効果的で忍容可能な治療となることを裏付けています」