ニュベクオ、遠隔転移がある前立腺がんの治療薬として国内申請

2022/03/25

文:がん+編集部

 遠隔転移がある前立腺がんの治療薬として、ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)が適応追加申請されました。

「ニュベクオ+ドセタキセル+ADT」、「ドセタキセル+ADT」と比べ全生存期間を有意に改善

 バイエル薬品は2022年3月11日、ダロルタミドの「遠隔転移がある前立腺がんの適応追加」に係る製造販売承認事項一部変更承認を、厚生労働省に対し申請したことを発表しました。今回の申請は、ARASENS試験の結果に基づくものです。

 ARASENS試験は、遠隔転移がある前立腺がん患者さん1,306人を対象に、「ダロルタミド+ドセタキセル+アンドロゲン遮断療法(ADT)」併用療法と「プラセボ+ADT+ドセタキセル」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は去勢抵抗性前立腺がんに進行するまでの期間、次治療開始までの期間、症候性の骨関連事象の初回発生までの期間、疼痛増悪までの期間などでした。

 解析の結果、「ダロルタミド+ドセタキセル+ADT」併用療法は「プラセボ+ドセタキセル+ADT」併用療法と比較して全生存期間を有意に延長しました。報告された有害事象全体の発現率は、比較された併用療法と同様でした。

 ダロルタミドは、アンドロゲン受容体阻害薬で、受容体と高い親和性で結合し、強力な阻害作用を発揮することで、アンドロゲン受容体機能と前立腺がん細胞の増殖を阻害する経口薬です。

 独バイエル社の医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、オンコロジー・ストラテジック事業部責任者であるクリスティーン・ロス氏は、次のように述べています。

 「前立腺がんは、日本人男性にとって最も罹患数の多いがんです。治療の進歩にもかかわらず、遠隔転移を有する前立腺がんは2〜3年以内に進行します。これは、治療早期の段階で、新たな治療選択肢が必要というアンメット・メディカル・ニーズが存在することを浮き彫りにしています。今回の申請は、遠隔転移を有する前立腺がんの患者さんに、良好な安全性プロファイルを提供しつつ、疾患の進行を遅らせ、生存期間を延長する可能性がある新しい治療を前進させるという、バイエルの前立腺がんに対する取り組みの重要な次の一歩となります」