ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行再発乳がん、ベージニオとフェソロデックス併用で全生存期間を改善

2019/08/23

文:がん+編集部

 ホルモン受容体(HR)陽性、かつ、ヒト上皮増殖因子受容体(HER2)陰性の進行再発乳がんに対する、アベマシクリブ(製品名:ベージニオ)+フルベストラント(製品名:フェソロデックス)併用療法を評価した治験で、全生存期間が統計学的に有意に改善されたことがわかりました。

複合体の形成を阻害し、がん細胞の増殖を防ぐ

 米イーライリリーは7月30日、HR陽性でHER2陰性の進行再発乳がんに対する、アベマシクリブ+フルベストラント併用療法を評価した第3相MONARCH2試験の中間解析の結果を発表しました。今回の結果はあらかじめ計画されていた中間解析に基づくものです。

 MONARCH2試験は、内分泌治療中または治療後に進行または転移したHR陽性HER2陰性の乳がん女性患者さん669人を対象とした臨床試験です。本試験の対象者には、閉経前後の患者さんが含まれています。転移性乳がんに対して、化学療法を行った患者さんと内分泌療法を2ライン以上実施した患者さんは含まれていません。病態の悪化等が認められるまで投与を継続しました。

 アベマシクリブ+フルベストラント併用療法とプラセボ+フルベストラントを比較して、主要評価項目として無増悪生存期間、副次的評価項目として奏効率、全生存期間、奏功期間で評価。主要評価項目の無増悪生存期間は、同試験ですでに統計学的に有意に改善されていましたが、今回の中間解析の結果、副次的評価項目の全生存期間の延長も達成しました。

 サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4または6は、サイクリンDと複合体を形成してがん細胞を増殖させます。アベマシクリブは、CDK4/6を選択的に阻害する分子標的薬です。もう一方のフルベストラントは、エストロゲンがサイクリンDの合成促進に働くのを阻害する薬です。アベマシクリブは、現在日本で承認されているCDK4/6阻害薬の中で、フルベストラントとの併用療法で、全生存期間を有意に改善した唯一の薬剤です。