オシメルチニブ単剤による一次治療下で病勢進行した進行非小細胞肺がんに対するバイオマーカーを指標とした治験
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治験名
ORCHARD
オシメルチニブ単剤による一次治療下で病勢進行した進行非小細胞肺がん患者を対象に、バイオマーカーを指標とした第2相プラットフォーム試験
治験概要:
進行非小細胞肺がんに対する治験。オシメルチニブ単剤による一次治療下で進行した患者さんが対象です。
オシメルチニブ+サボリチニブ、オシメルチニブ+ゲフィチニブ、オシメルチニブ+ネシツムマブ、カルボプラチン+ペメトレキセド+デュルバルマブを比較して、有効性と薬物動態で評価する臨床試験です。
登録予定数は、30人。
フェーズは、第2相臨床試験。
試験デザインは、非ランダム化、並行群間比較試験。
試験群1:オシメルチニブ+サボリチニブ
試験群2:オシメルチニブ+ゲフィチニブ
試験群3:オシメルチニブ+ネシツムマブ
試験群4:カルボプラチン+ペメトレキセド+デュルバルマブ
有効性と薬物動態などで評価します。
疾患解説:肺がん
疾患の詳細は、「肺がんを知る」を参照ください。
治験薬:オシメルチニブ
オシメルチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)をターゲットとした分子標的薬です。上皮成長因子(EGF)は、細胞の増殖や成長にかかわる物質で、細胞膜上に発現しているEGFRと結合することで細胞の分化や増殖などが起こります。EGFRの遺伝子に変異があると正常な分化や増殖がおこなわれず、がん化するといわれています。
オシメルチニブは、このEGFRを不可逆的に阻害します。同様にEGFRを阻害する分子標的薬には、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブがあます。このうちゲフィチニブ、エルロチニブは第1世代、アファチニブは第2世代のEGFR阻害薬です。第1世代、第2世代のEFGR阻害薬では、T790Mという耐性が起こり、薬の効果が減衰します。
オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異とともにこのT790耐性変異も阻害するように設計されており、中枢神経系への転移に対する活性もあります。
治験薬:サボリチニブ
サボリチニブは、c-MET遺伝子を選択的に阻害する分子標的薬です。
MET遺伝子は、肝細胞増殖因子(HGF)と結合する受容体チロシンキナーゼで、がん細胞で過剰発現がみられるがん遺伝子の1つです。
MET遺伝子とHGFが結合すると、細胞増殖や運動性を増加させるシグナルを活性化し、腫瘍の形成や悪性化に関連があると考えられています。
サボリチニブは、c-MET遺伝子を阻害することで、HGFとの結合を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。
治験薬:ゲフィチニブ
ゲフィチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシキナーゼ(TKI)を標的とした分子標的薬です。
細胞の表面に発現しているEGFRと上皮成長因子(EGF)が結合することで、チロシンキナーゼという酵素が活性化しシグナルが伝達され細胞が増殖します。
EGFRに変異が起こり常に活性化していると無秩序な細胞の増殖が起きます。
ゲフィチニブは、EGFR-TKIを選択的に阻害することで、がん細胞の増殖を抑え抗腫瘍効果を発揮します。
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対するEGFR-TKIは、現在4剤あります。ゲフィチニブ、エルロチニブは第1世代、アファチニブは第2世代、オシメルチニブは第3世代のEGFR-TKIです。
治験薬:ネシツムマブ
ネシツムマブは、上皮成長因子受容体(EGFR)を選択的に結合する分子標的薬です。
EGFRは、細胞増殖に必要なシグナルを受けとる受容体です。がん細胞の表面にあるEGFRにシグナルが伝わり異常な細胞増殖を起こします。ネシツムマブは、がん細胞の表面にあるEGFRと結合することで、細胞増殖に関わるシグナルを阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。
さらに、がん細胞と結合したネシツムマブをNK細胞が認識し、NK細胞が直接がん細胞を攻撃する抗体依存性細胞障害活性を有します。
治験薬:デュルバルマブ
デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
治験薬:ペメトレキセド
ペメトレキセドは、細胞分裂に必要な葉酸に構造が類似している葉酸代謝拮抗薬です。
葉酸代謝拮抗薬の中でも、3つの酵素を阻害し主要な葉酸代謝酵素経路を阻害することで、がん細胞の増殖を抑え強い抗腫瘍効果を発揮します。
治験薬:カルボプラチン
カルボプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。カルボプラチンは、シスプラチンの構造を変えることで吐き気や腎臓への障害、神経障害が軽減された第2世代の白金製剤です。
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | オシメルチニブ単剤による一次治療下で病勢進行した進行非小細胞肺癌患者を対象に、バイオマーカーを指標とした第II相プラットフォーム試験 |
試験の概要 | オシメルチニブ単剤による一次治療下で進行した進行非小細胞肺癌患者を対象とした第II相プラットフォーム試験 本治験はモジュール式デザインを採用しているため、複数の治験治療の有効性、安全性及び忍容性の評価が可能 |
疾患名 | 非小細胞肺癌 |
試験薬剤名 | 治験薬:オシメルチニブ、治験薬:Savolitinib、治験薬:ゲフィチニブ、治験薬:ネシツムマブ、治験薬:デュルバルマブ、治験薬:カルボプラチン、治験薬:ペメトレキセド |
用法・用量 | モジュール1:オシメルチニブ80mg+savolitinib300mgを1日1回経口投与する。モジュール2:オシメルチニブ80mg+ゲフィチニブ250mgを1日1回経口投与する。モジュール3:オシメルチニブ80mgを1日1回経口投与+necitumumab800mgを21日/1サイクルとして各サイクルの1日目と8日目に静注投与する。モジュール4:デュルバルマブ(遺伝子組換え)1500mg+ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチンAUC5を21日/1サイクルとして1~最高6サイクルまでの1日目に静注投与する。以降、病勢進行がない場合は維持療法としてデュルバルマブ(遺伝子組換え)1500mg+ペメトレキセド500mg/m2を28日/1サイクルとして各サイクルの1日目に静注投与することもできる |
対照薬剤名 | |
用法・用量 | |
試験のフェーズ | フェーズ2/phase2 |
試験のデザイン | 非ランダム化、並行群間比較試験 |
目標症例数 | 30 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 有効性/efficacy |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | 有効性/efficacy 薬物動態/pharmacokinetics |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 | 2019年5月7日~2025年12月31日 |