小野薬品工業とRibon社、PARP7阻害薬「RBN-2397」に関するライセンス契約を締結
2021/02/24
文:がん+編集部
小野薬品工業は、米国のRibon Therapeutics社(Ribon社)が開発中のPARP7阻害薬「RBN-2397」に関するライセンス契約を同社と締結しました。
RBN-2397、がん細胞の生存の鍵となるPARP7を阻害する低分子阻害薬
小野薬品工業は2月2日、Ribon社が固形がんを対象に第1相試験を実施中のPARP7阻害剤「RBN-2397」に関するライセンス契約を、同社と締結したことを発表しました。
今回の契約で小野薬品工業は、日本、韓国、台湾およびASEAN諸国でRBN-2397を独占的に開発および商業化する権利をRibon社より取得。契約一時金として17億円、開発の進捗および売上高に応じたマイルストンとして最大137億円をRibon社に支払います。また、売上高に応じて一桁台後半から二桁台前半のロイヤルティも支払います。
RBN-2397は、経口投与可能な低分子阻害薬です。がん細胞の生存の鍵となるPARP7を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制することが期待されています。PARP7は、すべての非小細胞肺がんの約30%にあたる肺扁平上皮がんを含め、多くの固形がんで過剰発現しています。進行固形がんを対象に、RBN-2397の安全性および忍容性を評価する第Ⅰ相用量漸増臨床試験が実施中されています。
小野薬品工業の代表取締役社長である相良暁氏は、次のように述べています。
「細胞のストレス応答経路を狙い、個別化医療を目指した新たな抗がん剤を開発するパイオニア企業のRibon社と協働できることを嬉しく思います。RBN-2397は、腫瘍増殖を直接抑えることに加え、がん細胞に対する免疫応答を高めるという2つのメカニズムを有することから、有力ながん治療薬になると期待しており、当社のがん領域での経験とノウハウを活かして、Ribon社と共にRBN-2397の開発に取り組んでいきます」
また、Ribon社の社長兼CEOであるVictoria Richon氏は、次のように述べています。
「この提携は本プロジェクトを戦略的に拡大するものであり、ストレス応答経路を標的にした我々の薬剤をできるだけ多くのがん患者さんにお届けするという我々のミッションを推進するものです。 PARP7は、がん細胞の生存の鍵となる分子であることから、RBN-2397はPARP7陽性の腫瘍に対する有力な治療法となると確信しています。RBN-2397の価値を最大化し、日本・韓国・台湾およびASEAN諸国の患者さんに本剤をお届けするべく、腫瘍免疫領域におけるグローバルリーダーである小野薬品と協働できることを楽しみにしています」