「オプジーボ+ヤーボイ」併用療法、切除不能な悪性胸膜中皮腫の一次治療薬としてCHMPが肯定的見解
2021/05/12
文:がん+編集部
切除不能な悪性胸膜中皮腫の一次治療薬として、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)」併用療法を、欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP)が承認を推奨する肯定的な見解を示しました。
「オプジーボ+ヤーボイ」併用療法、CheckMate-743試験では全生存期間で良好な延長を達成
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は4月23日、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法を、切除不能な悪性胸膜中皮腫の成人患者さんの一次治療薬としてCHMPが承認を推奨したことを発表しました。今後、欧州連合で医薬品を承認する権限を持つ欧州委員会によって審査されます。今回の肯定的見解は、CheckMate-743試験の結果に基づくものです。
CheckMate-743試験は、未治療の悪性胸膜中皮腫患者さん605人を対象に、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法と化学療法(ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン)を比較した第3相臨床試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、安全性、薬物動態などでした。
試験の結果、主要評価項目である全無作為化患者さん対象の全生存期間で良好な延長を達成しました。安全性に関しても、管理可能であり、安全性プロファイルはこれまでの試験と一貫していました。
現在、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫の治療法として、米国を含む3か国で承認されており、世界の保健当局により、申請の審査が進められています。また、切除不能な悪性胸膜中皮腫、進行悪性黒色腫、進行腎細胞がん、および進行非小細胞肺がんと4つの異なるがん腫に対し、CHMPの肯定的な見解を受けています。
同社の胸部がん領域開発担当バイスプレジデントであるAbderrahim Oukessou医師は、次のように述べています。
「悪性胸膜中皮腫に対しては、過去15年以上にわたり、生存期間を延長する新たな治療選択肢が承認されていません。現在、診断からわずか1年余りで大半の患者さんが亡くなられています。オプジーボとヤーボイの併用療法に対するCHMPの肯定的な見解により、この悪性度の高いがん腫に実証された有効な治療における緊急のアンメットニーズの解消に向けて、一歩前進することができました。欧州の患者さんにとって、生存期間を延長し得る最初の免疫療法薬の併用療法をお届けできることを期待しています」