「キイトルーダ+化学療法±アバスチン」、PD-L1陽性の再発・転移性子宮頸がんの適応でFDAが承認

2021/11/29

文:がん+編集部

 PD-L1陽性の治療抵抗性、再発・転移性子宮頸がんに対する治療法として、「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+化学療法±ベバシズマブ(製品名:アバスチン)」併用療法が、米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。

「キイトルーダ+化学療法±アバスチン」、病勢進行または死亡リスクを38%低下

 米メルク社は10月13日、「ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブ」併用療法が、PD-L1陽性(CPS ≧1)の治療抵抗性、再発または転移性の子宮頸がんを適応症としてFDAから承認されたことを発表しました。今回の承認は、KEYNOTE-826試験の結果に基づくものです。

 KEYNOTE-826試験は、放射線増感剤としての同時投与を除き化学療法による治療歴のない、治療抵抗性、再発または転移性の子宮頸がん患者さん617人を対象にした第3相試験です。参加した患者さんは、PD-L1の発現にかかわらず登録され、初期診断時の転移状態、ベバシズマブ使用の有無、PD-L1発現状態(CPS1未満、CPS1以上10未満、CPS10以上)によりグループ分けされました。617人中548人がPD-L1を発現(CPS1以上)、このうち273人が「ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブ」併用療法、275人が「プラセボ+化学療法±ベバシズマブ」併用療法を受けました。化学療法は、いずれのグループも「パクリタキセル+シスプラチン」または「パクリタキセル+カルボプラチン」を治験責任医師により選択されました。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間で、副次的評価項目は奏効率と奏効期間でした。

 PD-L1陽性(CPS≧1)の患者さんの解析で、「ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブ」併用療法は、「プラセボ+化学療法±ベバシズマブ」併用療法と比較して無増悪生存期間を改善し、病勢進行または死亡リスクを38%低下したことがわかりました。また奏効率や奏効期間の改善も確認されました。

 Arizona Oncologyのがん専門医でU.S. Oncology Research Gynecology Programのメディカルディレクター、University of Arizona College of MedicineおよびCreighton University School of Medicineの産婦人科教授であるBradley Monk博士は、次のように述べています。

 「子宮頸がんは米国では若い女性や一定の有色人種の女性でより高い頻度で発生しています。治療抵抗性、再発、または転移性子宮頸がんと診断された女性の生存率は残念ながら高くありません。過去7年間、治療抵抗性、再発または転移性子宮頸がんの一次治療は1件も承認されていません。キイトルーダの新たな併用療法が本日承認されたことで、対象患者さんに新たな治療の選択肢が提供できることを非常に嬉しく思います」

※ CPS(combined positive score): PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で割り、100を掛けた数値。