キイトルーダ、TMB-H進行・再発固形がんと切除不能または転移性腎細胞がんの適応で国内承認

2022/03/14

文:がん+編集部

 ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が、2つの適応で国内承認されました。がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-H)がある進行・再発の固形がんに対する承認と、レンバチニブ(製品名:レンビマ)との併用による根治切除不能または転移性の腎臓がんに対する適応です。

キイトルーダ、TMB-Hの固形がんに対する全奏効率29.4%で有効性を示す

 MSDは2022年2月25日、ペムブロリズマブが2つの適応で国内承認されたことを発表しました。TMB-Hがある進行・再発の固形がんと、レンバチニブとの併用による根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する適応です。TMB-Hがある進行・再発の固形がんに対する承認は、KEYNOTE-158試験の結果に基づくもので、根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する承認は、CLEAR試験の結果に基づくものです。

 KEYNOTE-158試験は、一次治療として化学療法歴がある進行または転移性のミスマッチ修復欠損もしくはMSI-Hがある固形がん患者さんを対象に、ペムブロリズマブの有効性と安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などでした。

 TMB-Hと判定された日本人6人を含む102人の解析で、全奏効率は29.4%、そのうち完全奏効率は3.9%、部分奏効は25.5%でした。安全性に関しては、63.8%で副作用が認められ、10%以上で認められた主な副作用は、疲労(16.2%)、甲状腺機能低下症(12.4%)、無力症(12.4%)、食欲減退(10.5%)、そう痒症(10.5%)でした。

 TMBは腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量で、今回の適応は10mut/Mb以上の状態をTMB-Hと定義しています。TMB-Hの腫瘍は、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、大腸がん、子宮内膜がん、膀胱がん、胃がんなどで比較的多く見られると報告されています。がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいた承認として、2018年に承認を取得した「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」に次いで、今回が2件目の承認です。

 CLEAR試験は、進行性腎細胞がん患者さん1,069人を対象に、一次治療として「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法または「レンバチニブ+エベロリムス(製品名:アフィニトール)」をスニチニブ(製品名:スーテント)と比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、重要な副次的評価項目は全生存期間、奏効率でした。

 解析の結果、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法はスニチニブと比較して無増悪生存期間を統計学的有意に延長し、病勢進行または死亡リスクを61%減少させました。安全性に関しては、96.9%に副作用が認められました。主な副作用は、下痢(54.5%)、高血圧(52.3%)、甲状腺機能低下症(42.6%)、食欲減退(34.9%)、疲労(32.1%)、口内炎(32.1%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(28.1%)、蛋白尿(27.6%)、悪心(26.7%)、発声障害(24.7%)、発疹(21.9%)、無力症(20.2%)などでした。