悪性黒色腫および血管肉腫を対象に、BNCTを評価した国内第1相試験の主要評価に関する観察期間が完了
2022/09/29
文:がん+編集部
悪性黒色腫および血管肉腫を対象に、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を評価した国内第1相試験の主要評価に関する90日間の観察期間が完了。安全性と忍容性が認められました。
安全性および忍容性が認められ、奏効率60%という高い有効性を示す
CICSとステラファーマは2022年9月9日、悪性黒色腫および血管肉腫を対象に、BNCTを評価した国内第1相試験の主要評価に関する90日間の観察期間が完了したことを発表しました。
本試験は、局所進行または局所再発の悪性黒色腫および血管肉腫患者さんを対象に、CICS の加速器(CICS-1)とステラファーマのホウ素薬剤(SPM-011)を用いたBNCT による治療の安全性および忍容性を評価することを主目的とした国内第1相試験です。主要評価項目は制限毒性の発現頻度から各線量レベルの安全性、有害事象および不具合の発現率、副次的評価項目は腫瘍縮小率、最良腫瘍縮小率、奏効率、無増悪生存期間、生存期間、標的病変の最良奏功割合、局所無増悪期間、慢性期有害事象発現までの期間などでした。
90日間の観察期間後の解析では、治療の安全性ならびに実施した照射線量(18Gy-Eq)に関する忍容性が認められました。副次的評価項目の奏効率の解析でも、60%という高い結果が得られました。
BNCTは、ホウ素剤を投与した後、体外から中性子線を照射する治療法です。がん細胞に取り込まれたホウ素に、照射された中性子線がぶつかると核反応を起こし、放射線(α線と7Li核)が発生しがん細胞が破壊されます。原則1回の中性子線の照射で治療が完了することで、体の負担が少ない治療法として期待されています。
両社は本試験の結果を受け、年内開始予定の国内第2相試験に向けた活動を推進すると述べています。