エンハーツ、HER2遺伝子変異がある非小細胞肺がんに対する2次治療薬として国内申請
2023/01/06
文:がん+編集部
トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)が、HER2遺伝子変異がある非小細胞肺がんに対する2次治療薬として国内申請されました。
HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象に希少疾病用医薬品として指定中
第一三共株式会社は2022年12月13日、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした効能または効果で、トラスツズマブ デルクステカンの製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行ったことを発表しました。今回の申請は、2022年9月開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2022)で発表されたDESTINY-Lung02試験とDESTINY-Lung01試験の結果に基づくものです。
DESTINY-Lung02試験の事前規定された中間解析では、前治療歴のあるHER2遺伝子変異がある非小細胞肺がん患者さん(5.4mg/kg投与群52人、6.4mg/kg投与群28人)において、本剤の臨床的に意義のある有効性が示されました。主要評価項目である客観的奏効率はそれぞれ53.8%(完全奏効は1人、部分奏効は27人)、42.9%(完全奏効は1人、部分奏効は11人)でした。奏効期間の中央値は、5.4mg/kg投与群において到達しておらず、6.4mg/kg投与群において5.9か月でした。中間解析後の90日間の追跡では、5.4mg/kg投与群の客観的奏効率は57.7%、奏効期間の中央値は8.7か月でした。
安全性について、新たな懸念は認められませんでした。対象患者さん(5.4mg/kg投与群101人、6.4mg/kg投与群50人)において、グレード3以上の有害事象として、好中球減少症(11.9%、34.0%)、貧血(8.9%、14.0%)、白血球減少症(2.0%、14.0%)などが認められました。間質性肺疾患については、13人(5.9%、14.0%)で報告された有害事象が間質性肺疾患外部判定委員会により本剤と関連のある間質性肺疾患と判定されました。大部分が低グレードであり、グレード3が5.4mg/kg投与群で1人、グレード4およびグレード5(死亡)は認められませんでした。
DESTINY-Lung01試験における追加の追跡期間後も、これまでと同様の有効性及び安全性が示されました。
有効性について、前治療歴のあるHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者さん(6.4mg/kg投与、91人)においては、中央値16.7か月の追跡期間における奏効期間の中央値は10.6か月、全生存期間の中央値は18.6か月に延長しました。また、サブグループ解析の結果、ベースライン時の脳転移の有無における無増悪生存期間の中央値はそれぞれ7.1か月および9.7か月、全生存期間の中央値は14.0か月および27.0か月、前治療歴数2以下または3以上では、無増悪生存期間の中央値はそれぞれ8.3か月および6.8か月、全生存期間の中央値は22.1か月および13.8か月でした。
前治療歴のあるHER2過剰発現の非小細胞肺がん患者さん(6.4mg/kg投与群49人、5.4mg/kg投与群41人)においては、客観的奏効率は26.5%と34.1%、無増悪生存期間の中央値は5.7月と6.7月、全生存期間の中央値は12.4か月と11.2か月でした。
安全性について、新たな懸念は認められませんでした。間質性肺疾患については、HER2遺伝子変異がある非小細胞肺がん患者さん(6.4mg/kg投与)の27.5%が間質性肺疾患外部判定委員会により本剤と関連のある間質性肺疾患と判定され、大部分が低グレードで、グレード5(死亡)は2人でした。HER2過剰発現の非小細胞肺がん患者さんにおいては、6.4mg/kg投与群で20.4%、5.4mg/kg投与群で4.9%が本剤と関連のある間質性肺疾患と判定され、大部分が低グレードで、グレード5(死亡)は4人でした。