ビーリンサイト、B細胞性急性リンパ性白血病に対する地固め療法として生存期間を延長
2023/01/11
文:がん+編集部
微小残存病変陰性のB細胞性急性リンパ性白血病を対象に、地固め療法としてブリナツモマブ(製品名:ビーリンサイト)の追加を評価したE1910試験の結果が発表され、生存期間の有意な延長が認められました。
約3.5年時点での生存率、「ビーリンサイト+化学療法」83%、化学療法単独65%
アムジェン社は2022年12月13日、ECOG-ACRINがん研究グループが、E1910第3相ランダム化試験の結果を報告したことを発表しました。
E1910試験は、フィラデルフィア染色体陰性B細胞性急性リンパ性白血病と新規診断された成人患者さんのうち、化学療法による寛解導入療法および強化療法後に微小残存病変陰性であった患者さんを対象に、ブリナツモマブを追加した地固め療法と現在の標準治療である地固め療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、主な副次的評価項目は無再発生存期間、微小残存病変の状態、有害事象の発現率などでした。
約3.5年間(中央値43か月)の追跡期間後の解析の結果、主要評価項目を達成し、ブリナツモマブ追加による全生存期間の有意な延長が認められました。また、標準治療である地固め化学療法にブリナツモマブを追加したグループの生存率が83%であったのに対し、化学療法単独グループの生存率は65%でした。ブリナツモマブと地固め化学療法の併用による新たな安全性上の課題は報告されませんでした。
ペンシルバニア大学AbramsonがんセンターおよびPerelman School of Medicineの血液腫瘍学教授でECOG-ACRIN白血病委員会の委員長であり、本試験の治験責任医師でもあるSelina M.Luger医師は、次のように述べています。
「急性リンパ性白血病と新規診断された成人患者さんの化学療法による完全寛解達成率は高いですが、再発することが多く、予後は不良です。従来、急性リンパ性白血病と新規診断された成人患者さんの転帰は、最大で90%が一次治療で治癒する小児患者さんと比べて不良でした。本試験において、ブリナツモマブを化学療法に追加した際に、微小残存病変陰性寛解を達成した成人患者さんの生存率は有意に改善し、小児患者さんの生存率と同程度でした。さらに、これらのデータは、 成人急性リンパ性白血病において微小残存病変陽性患者さんと微小残存病変陰性患者さんの両方で地固め療法としてブリナツモマブを推奨する、といったガイドラインのアップデートをサポートするデータとなるでしょう」