「オプジーボ+化学療法」、再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法としてCHMPが承認を推奨

2023/06/15

文:がん+編集部

 PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がん患者さんの術前補助療法として、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」併用療法は欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より承認に肯定的な見解を受けました。

「オプジーボ+化学療法」よる術前補助療法、化学療法と比較して無イベント生存期間および病理学的完全奏効を改善

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年5月26日、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がんの成人患者さんの術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法」併用療法の3回投与の承認をCHMPが推奨したことを発表しました。今回の肯定的な見解は、CheckMate-816試験の結果に基づくものです。

 CheckMate-816試験は、切除可能なステージ1B~3Aの非小細胞肺がん患者さんを対象に、術前補助療法として「ニボルマブ+化学療法」併用療法を化学療法と比較した第3相試験です。358人の患者さんが、「ニボルマブ360mg+組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法2剤」併用療法を3週間間隔で3回投与、またはプラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与のいずれかに無作為に割り付けられ、その後、手術が施行されました。主要評価項目は、PD-L1 の発現を問わない無イベント生存期間、病理学的完全奏効、副次評価項目は全生存期間、Major Pathological Response(MPR)、死亡または遠隔転移までの期間などでした。

 解析の結果、「ニボルマブ+化学療法」併用療法の3回投与による術前補助療法が、化学療法と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無イベント生存期間および病理学的完全奏効の改善が認められました。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 同社のバイスプレジデント兼胸部がん領域開発担当であるAbderrahim Oukessou医師は、次のように述べています。

 「肺がんの治療は進歩しているものの、残念ながら、現実には依然として多くの患者さんが最終的に再発し、亡くなる可能性があります。CheckMate-816試験の結果に基づき、オプジーボと化学療法の併用療法は、術前の投与によって、切除可能な非小細胞肺がんの再発、病勢進行および死亡のリスクを低減した最初の免疫療法薬をベースとしたレジメンです。CHMPの推奨を受け、再発リスクを低減する可能性がある有効かつ忍容性が良好な術前補助療法の新たな治療選択肢により、欧州連合の特定の患者さんに疾患の経過を変える機会を提供するという喫緊のニーズの解決に向けて、一歩前進することができました」