「タグリッソ+化学療法」、EGFR変異陽性局所進行・転移性非小細胞肺がんに対する効能効果でFDAが優先審査指定

2023/12/04

文:がん+編集部

 「オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)+化学療法」併用療法が、EGFR遺伝子変異陽性局所進行または転移性非小細胞肺がんに対する効能効果について、米国食品医薬品局(FDA)から優先審査指定されました。

「タグリッソ+化学療法」、タグリッソ単剤療法と比較して病勢進行または死亡リスクを38%低下

 アストラゼネカは2023年10月16日、局所進行または転移性EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんを対象とした「オシメルチニブ+化学療法」併用療法の適応追加申請がFDAに受理され、優先審査指定を取得したことを発表しました。今回の申請は、FLAURA2試験の結果に基づくものです。

 FLAURA2試験は、ステージ3B~4のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さん557人を対象に、一次治療として「オシメルチニブ+化学療法(ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン)」併用療法とオシメルチニブ単剤療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間などでした。

 解析の結果、「オシメルチニブ+化学療法」はオシメルチニブ単剤療法と比較して病勢進行または死亡リスクを38%低下させ、治験担当医評価による無増悪生存期間の中央値を8.8か月延長しました。独立中央判定による評価では、無増悪生存期間の中央値を9.5か月延長しました。

 また、中枢神経系転移のある患者さんを含む事前に既定されたすべてのサブグループで臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善が認められました。中枢神経系転移のあるグループでは、「オシメルチニブ+化学療法」はオシメルチニブと比較して病勢進行または死亡のリスクが53%低下。無増悪生存期間の中央値は11.1か月延長しました。

 今回の解析時点での全生存期間のデータは、イベント数が不十分ではあったものの、「オシメルチニブ+化学療法」では良好な傾向が観察されました。

 安全性に関しては、有害事象の発現率は併用療法で高かったものの、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫していました。

 同社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraith氏は次のように述べています。

 「今回のFLAURA2試験の結果は、一次治療を受けるEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんに対してタグリッソに化学療法を併用することで無増悪生存期間の中央値が9か月延長し、タグリッソの標準治療としての地位を強固にするものであると考えています。特に脳転移があるような予後不良の患者さんにとってこの併用療法という選択肢は重要であることから、FDAと協力してこの治療法を1日も早く患者さんにお届けできるよう努めてまいります」