エルダフィチニブ、FGFR3遺伝子変異または融合遺伝子がある根治切除不能な尿路上皮がんの効能・効果で国内申請

2024/01/17

文:がん+編集部

 FGFR3遺伝子変異または融合遺伝子があるがん薬物療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がんの効能・効果で、エルダフィチニブの国内申請が行われました。

エルダフィチニブ、化学療法と比較して死亡リスクを36%低下

 ヤンセンファーマ株式会社は2023年11月20日、「成人のFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する、がん薬物療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」に対する治療薬として、エルダフィチニブの製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の申請はTHOR試験のコホート1の結果に基づくものです。

 THOR試験は、FGFR遺伝子変異または融合遺伝子がある転移性または切除不能な成人の尿路上皮がんで、一次治療もしくは二次治療後に病勢進行が認められた患者さんを対象に、エルダフィチニブの有効性と安全性を評価する2つのコホートで構成された第3相試験です。

 コホート1では、抗PD-1/L1抗体を含む少なくとも1ライン以上の治療後に病勢進行した患者さんを対象に、エルダフィチニブと化学療法(ドセタキセルまたビンフルニン)が比較されました。

 コホート2では、抗PD-1/L1抗体を含まない1ライン以上の治療後に病勢進行した患者さんを対象に、エルダフィチニブとペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が比較されました。

 主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性、薬物動態などでした。

 あらかじめ規定された中間解析のコホート1の結果、エルダフィチニブは化学療法と比較して死亡リスクを36%低減し、全生存期間の改善が認められました。それぞれの全生存期間の中央値は、エルダフィチニブは1年以上、化学療法は8か月でした。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 同社の取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマ氏は、次のように述べています。

 「今回の申請およびエルダフィチニブに関し現在実施している試験は、転移性尿路上皮がんのような、患者さんに大きな影響を与える疾患をはじめ、アンメットニーズの高い領域で必要とされる標的治療薬を提供するという私たちのコミットメントを強化するものです。エルダフィチニブはFGFR遺伝子変異を有する進行性の尿路上皮がんにおいて有望な結果を示しており、今回の申請は患者さんの予後改善に向けた重要な一歩となります」