フェスゴ、HER2陽性の乳がん・大腸がんの治療薬として国内販売を開始

2024/01/18

文：がん＋編集部

　HER2陽性の乳がん・大腸がんの治療薬として「ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ　アルファ（製品名：フェスゴ）」の国内販売が開始されました。

フェスゴ、パージェダおよびハーセプチンの連続投与に比べ投与時間を大幅に短縮

　中外製薬は2023年11月22日、「HER2陽性の乳がん」および「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果として承認された「ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ　アルファ」の国内販売を開始したことを発表しました。今回の承認は、FeDeriCa試験とPHranceSCa試験などの結果に基づくものです。

　「ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ　アルファ」は、ペルツズマブとトラスツズマブに含まれるモノクローナル抗体とボルヒアルロニダーゼ　アルファの溶液が1本のバイアルに含まれ、固定用量による投与が可能な配合皮下注製剤です。薬剤投与時間（経過観察等を除く）は、ペルツズマブとトラスツズマブの静注製剤を続けて投与する場合、初回は約150分、2回目以降は60～150分です。一方、「ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ　アルファ」の投与時間は、初回は8分以上、2回目以降は5分以上に短縮されるため、患者さんの負担軽減につながると考えられます。

　同社の代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、次のように述べています。

　「HER2陽性乳がんの標準治療薬として使用されているパージェタおよびハーセプチンの配合皮下注製剤であるフェスゴを日本においても発売できることを心より嬉しく思います。フェスゴは、従来の静脈注射よりも短時間で治療が可能となる薬剤です。人々の生活様式や社会環境が多様化する中、投与時間が短縮されることで、患者さんの日常生活の改善につながることが期待されます。加えて、調製不要な固定用量の皮下注製剤であるため、医療資源の効率化への寄与が期待される薬剤です。フェスゴを新たな治療選択肢として、さまざまな状況の中でがん治療を受けられている患者さんやご家族、医療関係者の皆さまにこれまでにない価値をお届けできるよう、適正使用の推進に努めてまいります」