再発リスクが高い腎細胞がん、術後補助療法としてキイトルーダを評価したKEYNOTE-564試験の結果をASCO GU 2024で発表
2024/04/08
文:がん+編集部
腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞がんに対する術後補助療法として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を評価したKEYNOTE-564試験の結果を発表。全生存期間の改善が認められました。
キイトルーダ、プラセボと比較して死亡リスクを38%低減
米メルク社は2024年1月27日、KEYNOTE-564試験の結果を米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム(ASCO GU)2024で報告したことを発表しました。
KEYNOTE-564試験は、腎摘除術を受け、再発リスクが中~高度もしくは高度、または転移部位を完全に切除して病変が認められない腎細胞がん患者さん994人を対象に、術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目は無病生存期間、副次評価項目は全生存期間、安全性などでした。
事前に規定された3回目の中間解析(フォローアップ期間中央値57.2か月)では、ペムブロリズマブはプラセボと比較して死亡リスクを38%低減し、有意な延長が認められました。48か月の時点の生存率はそれぞれペムブロリズマブ91.2%、プラセボ86.0%でした。また、全生存期間の改善はペムブロリズマブの主要なサブグループで認められました。
安全性に関しては、これまでに報告されている試験における安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されませんでした。治療に関連した有害事象はペムブロリズマブ79.1%、プラセボ53.0%で認められました。グレード3〜4の有害事象はペムブロリズマブ18.6%、プラセボ1.2%に発生し、有害事象で投与中止に至ったのはペムブロリズマブ18.2%、プラセボ0.8%でした。また、治療に関連した死亡はありませんでした。
ダナ・ファーバーがん研究所のLank Center for Genitourinary Oncologyのディレクターでハーバード大学医学部Jerome and Nancy Kohlbergの教授トニー・K・ショエリ博士は、次のように述べています。
「腎細胞がん患者さんの術後の再発率は4割近くにのぼると考えられており、再発後は生存の可能性が非常に低くなります。KEYNOTE-564試験は術後補助療法としてペムブロリズマブを投与することで、全生存期間がプラセボと比較して38%改善かつ有意に延長し、術後の再発リスクの高い腎細胞がん患者さんにおいて生存期間の改善が示された、初の術後補助療法に関する第3相試験となりました」