PET用放射性薬剤「64Cu-NCAB001」による膵臓がんPET画像診断の医師主導治験を開始

2024/07/11

文:がん+編集部

 1cm未満の微小な膵臓がんの発見と精密な治療方針の決定を目的に、新しいPET用放射性薬剤「64Cu-NCAB001」を使ったPET画像診断の医師主導試験が開始されました。

PRIME-64試験、遠隔転移がない膵臓がん患者さんを対象に、「64Cu-NCAB001」の安全性の評価と第2相試験以降の推奨用量を決定

 国立がん研究センターは2024年6月11日、新しいPET用放射性薬剤「64Cu-NCAB001」を使った膵臓がんPET画像診断の医師主導治験(PRIME-64試験)を開始したことを発表しました。

 PRIME-64試験は、通常のPET検査では画像化できない3mm~1cmの微小な膵臓がんを明瞭に画像化できることが非臨床試験で明らかになっている新たなPET画像診断方法について、ヒトで安全性と推奨投与量を評価する第1相試験です。

 通常のPET検査では、放射性フッ素を付加したブドウ糖を静脈から注射するのに対し、本試験のPET画像診断では膵臓がん細胞の表面に高発現するEGFRに特異的に結合する特性を有する放射性抗体「64Cu-NCAB001」を超音波内視鏡で腹腔内に投与します。

PRIME-64試験の概要

目的

臨床的に遠隔転移がないと診断される膵がん患者さんを対象に、64Cu-NCAB001 の安全性を評価し、第2相試験以降の推奨用量を決定します。また、64Cu-NCAB001を用いるPET の画像収集の手法および画像評価規準を検討します。

主な選択基準と除外基準
  • 文書による同意が得られる
  • 膵臓がんが強く疑われる
  • 18歳以上80歳以下である
  • 膵臓がんまたは消化器がんに対する手術・抗がん剤治療・放射線治療歴がない
  • 日常生活に支障がない、または軽作業や座っての作業は行うことができる
  • 全身的な治療を必要とする感染症がない
  • 重篤な糖尿病、心疾患、肝障害、精神疾患がない
  • 女性の場合、妊娠中でなく、今後妊娠する可能性がない

注:上記の患者選択基準は概要であり、上記に該当していてもこの治験に参加できないことがあります。

参加施設
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 神奈川県立がんセンター