オムジャラ、未治療または治療歴のある骨髄線維症の治療薬として国内承認
2024/08/02
文:がん+編集部
モメロチニブ(製品名:オムジャラ)が、未治療または治療歴のある骨髄線維症の治療薬として国内承認されました。
オムジャラ、骨髄線維症の主な症状である貧血、全身症状、脾臓腫大を改善する新規治療薬
グラクソ・スミスクライン株式会社は2024年6月24日、モメロチニブが、未治療または治療歴のある骨髄線維症の治療薬として国内承認されたことを発表しました。今回の承認は、MOMENTUM試験およびSIMPLIFY-1試験の結果に基づくものです。
MOMENTUM試験は、JAK阻害薬による治療歴があり症状および貧血がある骨髄線維症患者さんを対象に、モメロチニブとダナゾール(日本では骨髄線維症に対する適応はない)を比較した第3相試験です。モメロチニブの安全性と骨髄線維症の主要な特徴である全身症状、輸血(貧血による)、脾腫の治療および軽減に対する有効性が評価されました。
試験の結果、主要評価項目および主要な副次評価項目のすべてが達成されました。モメロチニブはダナゾールと比較して、全身症状の改善(総合症状スコアが50%以上低下:モメロチニブ25%、ダナゾール9%)、脾臓の縮小(脾臓容積が35%以上縮小:モメロチニブ22%、ダナゾール3%)、輸血非依存割合(24週時点の前12週間に輸血を行わず、ヘモグロビン濃度がすべて8g/dL以上:モメロチニブ30%、ダナゾール20%)に関して臨床的に意義のある結果が示されました。
安全性に関しては、モメロチニブを投与された患者さんで最も多く認められた治験薬と関連のある非血液学的有害事象は、下痢(26%)、無力症(16%)でした。また、最も多く認められたグレード3または4の治験薬と関連のある有害事象は、血小板減少症(19%)、貧血(11%)でした。
SIMPLIFY-1試験は、JAK阻害薬による治療歴のない骨髄線維症患者さんを対象に、モメロチニブとルキソリチニブを比較した第3相試験です。
試験の結果、主要評価項目である脾臓縮小割合(35%以上の縮小)においてモメロチニブはルキソリチニブと比較して非劣性が示され9%の差が認められました。また、輸血非依存割合に関してはモメロチニブによる改善が認められ、その差は18%でした。
安全性に関しては、最も多く認められたグレード3以上の血液学的有害事象は、血小板減少症、貧血でした。また、グレード3以上の感染症が発生した割合は、モメロチニブ7%、ルキソリチニブ3%でした。
同社のオンコロジー・グローバル・プロダクト・ストラテジー部門シニアバイスプレジデントのニナ・モージャス氏は、次のように述べています。
「骨髄線維症は、脾臓の腫大、倦怠感、寝汗、骨の痛みの症状に加え、貧血による治療の中止や輸血依存など、患者さんに深刻な負担を強いる疾患です。オムジャラの承認により、日本の骨髄線維症患者さんにとって、この複雑な血液がんに対する新たな治療の選択肢が加わることとなります」
また、代表取締役社長のポール・リレット氏は、次のように述べています。
「骨髄線維症患者さんは、日常生活においてさまざまな制限や困難に直面しています。このたびの承認によって、日本では約10年ぶりに骨髄線維症の新薬となるオムジャラを患者さんにお届けできることを嬉しく思います。本薬剤が患者さんの治療に貢献し、生活の質の改善にお役立ていただけることを願っています」