筋層浸潤性膀胱がんを対象にイミフィンジを評価したNIAGARA試験の結果を発表

2024/08/22

文:がん+編集部

 筋層浸潤性膀胱がんを対象に、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)を評価したNIAGARA試験の結果を発表。無イベント生存期間と全生存期間の改善が認められました。

イミフィンジ、化学療法と比較して無イベント生存期間と全生存期間を延長

 アストラゼネカは2024年6月25日、NIAGARA試験の結果を発表しました。

 NIAGARA試験は、筋層浸潤性膀胱がん患者さん1,063人を対象に、根治的膀胱全摘除術の術前治療として「デュルバルマブ+化学療法」に加え術後治療としてデュルバルマブ単剤治療を実施する術前術後治療と、術前化学療法のみを比較した第3相試験です。

 解析の結果、デュルバルマブ併用による術前術後治療は、術前化学療法と比較して主要評価項目の無イベント生存期間および重要な副次的評価項目の全生存期間の統計学的有意かつ臨床的に意義のある改善を認めました。

 安全性に関しては、デュルバルマブの忍容性は全般的に良好であり、術前術後のいずれにおいても新たな安全性の懸念は認められませんでした。また、デュルバルマブおよび術前化学療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫しており、デュルバルマブを追加しても、術前化学療法単独と比較して有害事象による投与中止率は上昇せず、患者さんの手術への影響は認められませんでした。

 英国Bartsがんセンター所長であり、本試験の治験責任医師であるThomas Powles教授は、次のように述べています。

 「標準治療を受けている筋層浸潤性膀胱がん患者さんの半数近くが、依然として疾患の再発または進行を経験しています。今回のNIAGARA試験のデータは、術前化学療法にデュルバルマブを追加し、術後にデュルバルマブを投与する治療による患者さんの延命効果を初めて示しました」