【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年5月26日)

2025/05/26

文:がん+編集部

切除不能進行・再発大腸がん対象、タンキラーゼ阻害薬「RK-582」を評価する医師主導治験開始

 がん研究会は2025年5月8日、タンキラーゼ阻害薬「RK-582」の国内初となる医師主導第1相治験において、1人目の患者さんへの投与を実施したことを発表しました。

 同治験は、切除不能進行・再発大腸がん患者さんを対象に、RK-582の安全性および忍容性に加え、副次的に有効性を評価することが目的とされています。同薬は、大腸がんの約80%で見られるがん抑制遺伝子「APC」の機能喪失型変異により亢進した Wnt/β-カテニンシグナルを遮断することで、腫瘍組織の増殖を抑制すると考えられています。

EPHB4抗原発現悪性固形がん対象、遺伝子改変T細胞療法「EPHB4-CAR-T細胞」を評価する治験開始

 国立がん研究センターは2025年5月12日、多くのがんに高発現するEPHB4受容体を標的とする遺伝子改変T細胞療法「EPHB4-CAR-T細胞」を評価する医師主導治験を開始したことを発表しました。

 同治験は、転移・再発に対して標準治療がないまたは不応もしくは不耐のEPHB4受容体を発現するユーイング肉腫または固形がん患者さんを対象に、EPHB4-CAR-T細胞を投与した際の安全性と有効性が評価されます。

 EPHB4-CAR-T細胞は、信州大学、京都府立医科大学の共同で開発され、治験製品の製造は、信州大学医学部附属病院先端細胞治療センター内の細胞加工施設で行われます。医師主導治験は国立がん研究センター東病院で実施されます。

転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象にトルカプを評価したCAPItello-280試験が中止

 アストラゼネカ株式会社は2025年5月12日、CAPItello-280試験を中止したことを発表しました。

 CAPItello-280試験は、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さん1,033人を対象に、「カピバセルチブ(製品名:トルカプ)+ドセタキセルおよびADT」併用療法と、「プラセボ+ドセタキセルおよびADT」併用療法を比較した第3相試験です。事前に規定された中間解析の結果、「カピバセルチブ+ドセタキセルおよびADT」併用療法は「プラセボ+ドセタキセルおよびADT」併用療法と比較して無増悪生存期間および全生存期間の達成が試験終了までに達成する可能性が低いことがわかりました。

 なお、患者さんへの必要なフォローアップが遂行されるとともに、同試験で得られたデータは、現在進行中の研究に役立てられます。