アドセトリス併用療法、CD30発現末梢性T細胞リンパ腫に対する良好な結果を米国血液学会で発表

2018/12/13

文:がん+編集部

  CD30発現末梢性T細胞リンパ腫に対して、ブレンツキシマブ ベドチン(製品名:アドセトリス)と化学療法との併用で、現行の標準治療よりも良好な結果が示された治験のデータが米国血液学会で発表されました。

無増悪生存期間、全生存期間ともに統計学的に有意に延長

 武田薬品工業株式会社は12月4日、CD30発現末梢性T細胞リンパ腫に対するブレンツキシマブ ベドチンと化学療法との併用による1次治療が、現行の標準治療と比べて、無増悪生存期間※1と全生存期間※2の延長を示した第3相臨床試験ECHELON-2試験の結果を、第60回米国血液学会の総会で報告したと発表しました。

 ECHELON-2試験は、CD30発現の末梢性T細胞リンパ腫の1次治療として、A+CHP療法※3とCHOP療法※4を比較した二重盲検比較試験です。主要評価項目は、無増悪生存期間です。2018年10月に報告されたデータでは、A+CHP療法はCHOP療法と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間の改善(ハザード比:0.71、P=0..110)、全生存期間でも良好な結果(ハザード比:0.66、P=0.0244)でした。

 ブレンツキシマブ ベドチンは、末梢性T細胞リンパ腫のいくつかのサブタイプで発現がみられるCD30抗原を標的とした抗体薬物複合体です。CD30陽性腫瘍を標的としたブレンツキシマブと微小管阻害作用をもつ低分子薬剤を結合させています。そのため、CD30陽性腫瘍に選択的に結合し細胞内に取り込まれた後、微小管阻害作用をもつ低分子薬剤の効果により、腫瘍の増殖が抑制されます。

ECHELON-2試験

対象:CD30陽性成熟型T細胞リンパ腫
条件:新たにCD30陽性成熟型T細胞リンパ腫と診断された患者
フェーズ:第3相試験
試験デザイン:多施設共同、ランダム化、二重盲検試験
登録数:452人
試験群:A+CHP療法(ブレンツキシマブ ベドチン+シクロホスファミドドキソルビシン、プレドニゾン)
対照群:CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)
主要評価項目:無増悪生存期間
副次的評価項目:全生存率、客観的奏効率※5、安全性

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※3:A+CHP療法、ブレンツキシマブ ベドチン+シクロホスファミド(製品名:エンドキサン)、ドキソルビシン(アドリアシンほか)、プレドニゾンの併用療法
※4:CHOP療法、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン
※5:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。