リムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの維持療法で欧州医薬品評価委員会が推奨
2019/05/24
文:がん+編集部
BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、オラパリブ(製品名:リムパーザ)が欧州医薬品評価委員会(CHMP)で推奨されました。
リムパーザ群の6割、3年間無増悪状態を維持
アストラゼネカとメルク・アンド・カンパニーは5月13日に、PARP阻害薬であるオラパリブが、BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんにおける初回治療後の維持療法として、CHMPから推奨されたことを発表しました。BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんと診断された患者さんを対象とした、プラチナ製剤ベースの初回化学療法後の維持療法としてオラパリブを使用したときの有効性および安全性をプラセボと比較検討したSOLO-1試験のデータに基づくものです。
SOLO-1試験は、プラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全奏効または部分奏効を示している病的変異あるいは病的変異疑いに分類される、生殖細胞系列あるいは体細胞系列BRCA1または BRCA2遺伝子変異が確認されている391例の患者さんを対象に行われました。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は2次進行もしくは死亡までの期間、最初の後治療開始までの期間、全生存期間でした。36か月時点での無増悪状態を維持したのは、オラパリブ群で60.4%だったのに対し、プラセボ群では26.9%でした。
安全性に関しても、過去の結果と一致しており、発現率20%以上の有害事象は、悪心(77%)、疲労(63%)、嘔吐(40%)、貧血(39%)、下痢(34%)でした。グレード3以上の有害事象は、貧血、好中球減少で、オラパリブ群の71%患者さんが、薬を減量することなく推奨用量を継続でき、88%の患者さんでは投与を中止せず、治療を継続できました。
同社のエグゼクティブバイスプレジデントでオンコロジービジネスユニット責任者のデイヴィド・フレドリクソンは「世界では進行卵巣がん患者さんの7割が初回治療後3年以内に再発していることから、大きなアンメットニーズがあります。SOLO-1試験の結果は、維持療法としてリムパーザの早期使用の潜在的可能性を示し、患者さんが診断後すぐにBRCA遺伝子変異の状態を確認することの重要性をより強固に示しています」と、述べています。