胃がん内視鏡検査、レーザー光で早期発見率向上

2019/06/11

文:がん+編集部

 レーザー光を使った内視鏡による胃がん検査で、早期胃がんの発見率が向上することがわかりました。胃がんの見逃しの減少や、早期発見、早期治療につながることが期待されます。

早期胃がん発見割合、レーザー光90%以上、白色光50%

 京都府立医科大学は5月8日に、レーザー光による画像強調内視鏡観察を用いることで早期胃がんの発見率を向上することを証明したと発表しました。同大大学院医学研究科消化器内科学伊藤義人教授、内藤裕二准教授、土肥精統助教らの共同研究グループによるものです。

 胃がんの早期発見では、X線バリウム検査より、白色光による内視鏡検査が優れているという報告があります。しかし、従来から行われている白色光観察では、しばしば胃がんの見落としがあるという報告もあります。そのため、白色光以外のさまざまな特殊光による画像強調観察が開発されており、2012年には富士フイルムが開発したレーザー光を用いた画像強調観察であるblue laser imaging(BLI)モードやBLIをより明るくしたBLI-brightモードが日常臨床でも使用されていました。今回研究グループは、BLIの診断能力を図るため臨床試験を行いました。

 今回の研究では、京都府立医科大学附属病院ならびに京都府立医科大学附属北部医療センターで胃がんが現在ある、または過去にあった患者さん、あるいは萎縮性胃炎がある650人の患者さんに対して、2つのグループに分け内視鏡検査を行いました。1つ目のグループは、最初に白色光で胃全体を観察したのち、BLI-brightで観察する「白色光先行群」としました。もう1つのグループは、最初にBLI-brightで胃全体を観察してから白色光で観察する「BLI-bright先行群」としました。2つのグループを比較した結果、白色先行群では、胃がん24病変中12病変が白色光で見つかりました。胃がん発見率は4%で、発見割合は50%、見落とし割合が50%という結果でした。BLI-bright先行群では、胃がん29病変中27病変がBLI-brightで見つかりました。胃がん発見率は9.1%で、発見割合は93.1%、見落とし割合が6.9%でした。このことから BLI-brightの方が、白色光より有意に胃がんの発見が多くなり、見落としを少なくできることが証明されました。実際に白色光で見逃し、BLI-bright で発見された胃がんの画像は、白色光ではがんと周囲粘膜との見分けがつきませんでしたが、BLI-bright では胃がんが褐色調に見え、周囲粘膜との違いが明瞭に見えることで発見できたそうです。