RET遺伝子変異陽性の進行甲状腺髄様がんに対するセルペルカチニブの治験

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治験

LIBRETTO-531

キナーゼ阻害薬治療歴のない腫瘍増悪が認められるRET遺伝子変異陽性の進行甲状腺髄様がんがある患者を対象としてセルペルカチニブを医師選択治療(カボザンチニブまたはバンデタニブ)と比較する多施設共同、無作為化、非盲検、第3相試験

治験概要:

RET遺伝子変異陽性の進行甲状腺髄様がんに対する治験。キナーゼ阻害薬治療歴のない腫瘍増悪が認められる患者さんが対象です。
セルペルカチニブとカボザンチニブまたはバンデタニブを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、400人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、国際多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、第3相試験。
試験群:セルペルカチニブ
対照群:カボザンチニブまたはバンデタニブ
治療継続生存期間、無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、全生存期間などで評価します。

疾患解説:甲状腺がん

甲状腺にできるがんは、乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫がありますが、乳頭がん、濾胞がん、低分化がんの3つが甲状腺がんです。このうち甲状腺がんの約9割が乳頭がんです。
甲状腺がんのステージ分類の特徴は、年齢によって異なることです。
乳頭がんと濾胞がんでは、55歳未満の場合、遠隔転移がなければステージ1、遠隔転移がある場合は、ステージ2となります。55歳以上の場合、がんの大きさ、浸潤度、リンパ節への転移、遠隔臓器への転移を考慮してステージ1~ステージ4Bに分類されます。
甲状腺がんの主な症状は、しこりです。まれに呼吸困難や声のかすれ、ご縁、痛み、血痰などの症状が起こることもあります。

治験薬:セルペルカチニブ

セルペルカチニブは、RETキナーゼを選択的に阻害する分子標的薬です。
RET融合遺伝子と活性化変異を含むRETキナーゼの遺伝子異常は、RETシグナル伝達と制御不能な細胞増殖の原因となります。
セルペルカチニブは、過剰なRETシグナルを抑制することで、がん細胞の増殖を抑制します。

対照薬:カボザンチニブ

カボザンチニブは、RET、MET、VEGF1、2、3受容体とマスト/幹細胞成長因子(KIT)、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT-3)、TIE-2(TEKチロシンキナーゼ、内皮細胞)、トロポミオシン-関連キナーゼB(TRKB)およびAXなど複数のチロシンキナーゼを標的とした分子標的薬です。
これらの受容体やチロシンキナーゼの活性を阻害することで、がん細胞の増殖と血管新生の阻害することで、がん細胞を破壊します。

対照薬:バンデタニブ

バンデタニブは、がんの増殖にかかわるRETやEGFR、血管新生にかかわるVEGFなどのタンパク質の働きを抑制する分子標的薬です。
バンデタニブは、特にRETの活性を抑制することで抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

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試験概要詳細

試験の名称キナーゼ阻害薬治療歴のない腫瘍増悪が認められる RET 遺伝子変異陽性の進行甲状腺髄様癌を有する患者を対象として selpercatinib を医師選択治療(cabozantinib 又はバンデタニブ)と比較する多施設共同、無作為化、非盲検、第III 相試験(LIBRETTO-531)
試験の概要キナーゼ阻害薬の治療歴のない腫瘍増悪が認められるRET遺伝子変異陽性の進行MTCを有する被験者集団におけるTFFSを、selpercatinib投与例とcabozantinib又はバンデタニブ投与例との間で比較すること
疾患名甲状腺髄様癌
試験薬剤名セルペルカチニブ
用法・用量経口投与
対照薬剤名バンデタニブ
用法・用量経口投与
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン国際多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、第3相試験
目標症例数400
適格基準
  • 各国の規制において同意書を提出できる許容年齢であり、かつ18歳以上である患者(12歳以上の患者は、各国の規制当局及び治験審査委員会により許可されれば組入れることができる)
  • キナーゼ阻害薬による前治療を受けておらず、組織検査で確認されている、切除不能、局所進行又は転移性のMTCを有する患者
  • 過去14ヵ月以内に取得された画像との比較で、スクリーニング時に画像上の進行を伴ってRECIST1.1に基づく測定可能病変を認めるとBICRにより判定された患者
  • 腫瘍細胞DNA、生殖細胞系列DNA又は血液検体中にRET遺伝子異常が認められた患者
  • RETの結果を後ろ向きに確認するために、十分な量の未染色の保存腫瘍組織検体を有している患者
  • ECOGPSが0~2である患者
  • 十分な臓器機能が認められる患者
  • 妊娠可能なパートナーを有する男性又は妊娠可能な女性は、効果の高い避妊法[を治験薬投与期間中及び最終投与から6ヵ月間使用することに同意する必要がある
  • カプセル剤を飲み込むことができる患者
  • 年齢:12歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • MTC中に発癌性が明らかとなっている他のドライバー遺伝子陽性の患者
  • 症状を伴うCNS転移、髄膜癌腫症、又は未治療の脊髄圧迫を有する患者
  • 臨床的に重要な活動性の心血管疾患を認める、又は予定する治験治療開始前6ヵ月以内に心筋梗塞の既往を有する患者、トルサード・ド・ポアントの既往を有する患者、あるいはスクリーニング期間中のECG測定でQTcF延長が複数回認められた患者
  • 活動性、コントロール不良、かつ全身性の細菌、ウイルス又は真菌感染を認める患者、あるいは適切な治療を行っているにもかかわらず重篤な持続性併発疾患
  • 活動性出血を来している、あるいは出血のリスクが極めて高い患者
  • そのほかの悪性腫瘍を認める患者(黒色腫以外の皮膚癌、子宮頸部上皮内癌、又は2年以上前に診断され、現在は活動性ではない悪性腫瘍を認める患者は例外とする)。MEN2に関連する褐色細胞腫を有する被験者は、適格とする場合もある
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法BICRが判定するtreatment failure-free survival(TFFS)
副次的な評価項目有効性/efficacy
副次的な評価方法BICRが判定するPFS
BICRが判定するORR/DOR
OS
治験責任(分担)医師が判定するPFS2
予定試験期間2020年3月26日~2024年12月16日

出典:臨床研究等提出・公開システムより