DS-8201、HER2陽性乳がんの薬剤として国内承認申請

2019/10/01

文:がん+編集部

 HER2陽性乳がんに対する薬剤として、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)の国内製造販売承認申請が行われました。

再発・転移性のHER2陽性乳がんの三次治療として期待

 第一三共は9月9日、HER2と呼ばれるタンパク質に対する抗体薬物複合体「トラスツズマブ デルクステカン」について、HER2陽性乳がんに係る国内製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の申請は、グローバル第2相臨床試験DESTINY-Breast01試験と日米共同第1相臨床試験の結果に基づくものです。

 DESTINY-Breast01試験は、トラスツズマブ エムタンシン(製品名:T-DM1)治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者さん253人を対象としたグローバル第2相臨床試験です。本試験の主要評価項目である客観的奏効率は、日米共同第1相臨床試験の結果(2019年4月公表、奏効率59.5%)と同様の傾向が認められ、安全性においても新たな懸念は認められませんでした。

 日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン」では現在、HER2陽性の転移・再発乳がんに対する一次治療では、トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)とペルツズマブ(製品名:パージェタ)、ドセタキセルの併用療法が推奨されています。一次治療後に病勢進行となった場合の二次治療として推奨されているのは、トラスツズマブ エムタンシンのみです。今回、トラスツズマブ デルクステカンが国内承認されることで、患者さんの新たな治療として期待されます。