リムパーザ、BRCA陽性膵臓がんの維持療法として希少疾病用医薬品指定を取得

2020/04/03

文:がん+編集部

 オラパリブ(製品名:リムパーザ)は、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵臓がんに対する維持療法として、希少疾病用医薬品指定されました。

POLO試験の結果、病勢進行または死亡リスクを47%低減

 アストラゼネカは3月17日、PARP阻害薬オラパリブについて、切除不能なBRCA遺伝子陽性の膵臓がんの維持療法として希少疾病用医薬品指定を厚生労働省から取得したことを発表しました。プラチナ製剤ベースの一次化学療法で病勢進行が認められなかったBRCA遺伝子変異陽性転移性膵臓がん患者さん154人を対象に、オラパリブを評価した海外第3相臨床試験(POLO試験)の結果に基づくものです。

 POLO試験では、オラパリブ群とプラセボ群それぞれに、患者さんを3対2の割合で無作為に割り付けました。主要評価項目の無増悪生存期間で評価した結果、プラセボに対しオラパリブは病勢進行または死亡に至るまでの期間を約2倍延長。また、病勢進行または死亡のリスクを47%(ハザード比 0.53[95%信頼区間:0.35-0.82]、p=0.004)減少させました。副次的評価項目の全生存期間に関しては、中間解析では統計学的に有意な差は示されませんでした。安全性に関しては、これまでの試験で確認されている安全性プロファイルと一致していました。

 厚生労働省が指定する希少疾病用医薬品は、患者数が5万人未満でアンメットニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対するものです。膵臓がんは、2018年に4万3,000人が新たに診断され、3万7,000人(同年)が亡くなっており、一般的ながんの中では生存率が最も低いです。

 同社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは、次のように述べています。

 「日本は世界で5番目に膵がんの発症率が高い国であり、その治療は過去数十年あまり進歩が見られていません。今回の指定は、日本で初めてバイオマーカーにより選定された進行膵がん患者さんに対して分子標的薬の使用が可能になった重要な一歩といえます」