膵臓がんの「隠れ転移」を発見、転移性膵臓がん治療への応用に期待

文:がん+編集部

 膵臓がんの「隠れ転移」が発見されました。がんになる前の細胞「前がん細胞」が、最も転移しやすいこと、肝臓や肺に転移した前がん細胞は、見た目は転移と判別できないこともわかりました。

早期転移した「前がん細胞」、転移先の臓器に成りすまして隠れていることが判明

 名古屋大学は3月2日、膵臓がんの前がん細胞が肝臓と肺に転移し、その臓器の細胞であるように装って隠れていることを明らかにしたことを発表しました。同大大学院医学系研究科腫瘍外科学の江畑智希教授と山口淳平病院講師らの研究グループによるものです。

 研究グループは、遺伝子改変マウスモデルを用いて、蛍光色素で標識した前がん細胞、早期のがん細胞、進行期のがん細胞をが全身へ転移する経過を追う研究を行いました。これらの細胞は血液の中に侵入し肝臓に転移することが確認され、前がん細胞がもっとも転移しやすいことが明らかになりました。また、肝臓や肺に転移した前がん細胞は、転移した先の臓器細胞に成りすまして生着し、その後がん化して腫瘍になることが確認されました。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「転移性膵がんの治療は抗がん剤による化学療法しかありませんが、それも奏効率は低いうえに副作用の頻度も高く、有効な治療法とは言い難いのが現状です。もし転移が腫瘍になる前の段階、すなわち隠れ転移の段階で発見することができれば、がんになる前にこれを切除することやがん化を予防するなど、究極の予防的治療法が確立できる可能性があります。この研究グループでは今回確立した隠れ転移マウスモデルを用いて、隠れ転移を発見するための特異的なマーカーの探索や、隠れ転移がん化予防の方法などを模索していく予定です」