悪性リンパ腫の抗がん剤耐性化の新たなメカニズムを解明

文:がん+編集部

 悪性リンパ腫の抗がん剤に対する薬剤耐性の新たなメカニズムが解明されました。新規治療法の開発が期待されます。

「エクソソーム」を抑制する新たな治療法の開発につながる可能性も

 名古屋大学は5月24日、悪性リンパ腫細胞の周囲に存在する線維芽細胞から分泌される直径30~150nmの「エクソソーム」と呼ばれる細胞外小胞が、悪性リンパ腫細胞の抗がん剤耐性化に関与するメカニズムを明らかにしたことを発表しました。同大大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の久納 俊祐大学院生、高井 美佳大学院生、清井 仁教授、同大医学部附属病院血液内科の島田 和之講師らの研究グループと、名古屋医療センター高度診断研究部の真田 昌部長、愛知県がんセンター研究所腫瘍制御学分野の小根山 千歳分野長らの研究グループの共同研究によるものです。

 悪性リンパ腫に見られるリンパ節病変では、がん細胞だけでなくその周囲にあるさまざまな細胞が、悪性リンパ腫細胞の生存や増殖に対し重要な役割を担っていることが最近わかってきました。

 研究グループは悪性リンパ腫の周囲にある細胞の中で、がん関連線維芽細胞の働きに着目。線維芽細胞から分泌される直径30~150nmのエクソソームが、悪性リンパ腫の生存や増殖を支持していることを明らかにしました。さらに、エクソソームに含まれるマイクロRNAが、悪性リンパ腫細胞の表面にある抗がん剤を細胞内に取り込む働きをするタンパク質の発現を抑えることで、抗がん剤の効果を抑制していることを突き止めました。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「今回の研究成果により、悪性リンパ腫のリンパ節病変における抗がん剤耐性化のメカニズムの一端が明らかにされました。今後エクソソームの分泌を抑えることをはじめとする新しい治療法の開発により、現在は抗がん剤が効きにくかった患者さんの治療成績の改善につながることが期待されます」