骨肉腫の肺転移メカニズムを解明

文:がん+編集部

 骨肉腫で起こる肺転移メカニズムを解明。転移にかかわる分子を阻害する薬物が見つかり、治療薬の開発につながる可能性があります。

LPAR1阻害薬、骨肉腫の肺転移を抑制できる可能性

 がん研究所は7月26日、骨肉腫細胞が血小板を巧みに利用することで肺転移を促進するというメカニズムを解明したことを発表しました。がん研究会がん化学療法センター基礎研究部の高木聡研究員、片山量平部長らの研究グループによるものです。

 骨肉腫は、小児や若年者を好発年齢とする希少がんであり、肺転移が予後不良因子となるため、肺転移を抑制することは骨肉腫の予後改善にとって重要な課題です。

 研究グループは今回、骨肉腫細胞に共通する特徴として、血小板を活性化させる機能があることを見出しました。また、活性化された血小板が作り出し放出する「LPA」という生理活性をもつ脂質が、骨肉腫の増殖にかかわることを突き止めました。さらに、骨肉腫細胞ではLPA受容体である「LPAR1」が高発現しており、このLPAR1が骨肉腫の増殖や肺転移にかかわっていることを明らかにしました。

 骨肉腫マウスに、LPAR1を阻害する拮抗薬(アンタゴニスト)を事前に投与する動物実験で、肺転移が抑制されることが確認されました。このことから、LPAR1を阻害することで骨肉腫の肺転移を抑制できる可能性が示されました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「本研究により、LPAR1の機能を阻害する薬剤は、骨肉腫の肺転移を抑制する分子標的薬となる可能性が示唆されました。なお、LPAR1アンタゴニストは、特発性肺線維症の治療薬として現在臨床試験下にありますが、骨肉腫患者に投与した際の安全性や有効性を明らかにするためには、臨床試験によるさらなる検討が必須になります」