ミトコンドリアを狙い撃ちする「がん光治療法」の開発に成功

文:がん+編集部

 がん細胞のミトコンドリアを狙い撃ちする「がん光治療法」の開発に成功。1回の投与でがん細胞の成長を抑制することが動物実験で確認されました。

胆がんモデルマウスの検証実験で、がん細胞の増殖抑制を確認

 北海道大学は8月24日、光増感分子「PS」を搭載したミトコンドリアを標的としたナノカプセルを開発し、マウスモデルによる実験でその有用性を確認したことを発表しました。同大学大学院薬学研究院の山田勇磨准教授、原島秀吉教授と電子科学研究所の高野勇太准教授らの研究グループによるものです。

 ミトコンドリアは、細胞の「エネルギー工場」と呼ばれています。研究グループは、新たながん光治療として、がん細胞のミトコンドリアを破壊する治療法の検証を試みました。まず、光照射によりミトコンドリア内で活性酸素の発生を誘導するPSを搭載したミトコンドリア型のナノカプセル(rTPA)を開発しました。さらに、ヒトの担がんをもったモデルマウスにrTPAを投与し光照射を行ったところ、がんの増殖の抑制効果が観察されました。

 研究グループは今後への期待として、次のように述べています。

 「本研究で採用するミトコンドリアを狙い撃ちするがん治療戦略は既存薬の抗がん作用機序と異なり、薬剤耐性がんの治療にも有用であると期待されます。また,がん細胞にピンポイントに抗がん剤を運ぶナノカプセルは正常細胞への侵襲性を抑えることが期待されるため、効果がでているのに副作用で治療を断念などの問題点の解決にもつながる可能性があります。さらに、多彩な機能を有するミトコンドリアを標的とした創薬開発の医療用ナノカプセルの基盤技術としても貢献できると期待されます」