「オプジーボ+化学療法」、PD-L1陽性HER2陰性の進行または転移性の胃がん・胃食道接合部がん、食道がんの治療薬としてCHMPが肯定的見解

2021/10/20

文:がん+編集部

 「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」を、PD-L1陽性HER2陰性の進行または転移性の胃がん・胃食道接合部がん、食道がんの治療薬として欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が肯定的見解を示しました。

「オプジーボ+化学療法」、化学療法と比べ統計学的有意に全生存期間・無増悪生存期間を改善

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は9月17日、PD-L1陽性HER-2陰性の進行または転移性胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの成人患者の一次治療薬として、「ニボルマブ+化学療法(フルオロピリミジン系、プラチナ系薬剤を含む)」併用療法の承認をEMAのCHMPが推奨したことを発表しました。今回の承認勧告は、CheckMate-649試験の結果に基づくものです。

 CheckMate-649試験は、未治療のHER-2陽性以外の進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの患者さんを対象に、「ニボルマブ+化学療法」併用療法または「ニボルマブ+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)」併用療法を、化学療法と比較した第3相試験です。主要評価項目は、「ニボルマブ+化学療法」併用療法のPD-L1陽性(CPS≧5)患者さんに対する全生存期間と無増悪生存期間です。主な副次評価項目は、「ニボルマブ+化学療法」併用療法のCPSが1以上の患者さんと全無作為化患者さんに対する全生存期間、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法の患者さんの全生存期間および症状悪化までの期間です。

 試験の結果、CPSが5以上の患者さんに対し、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間および無増悪生存期間の改善を示しました。また、CPSが1以上の患者さんおよび全無作為化患者集団においても全生存期間の改善が認められました。「ニボルマブ+化学療法」併用療法の安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 同社の消化器がん領域担当開発責任者であるIan M. Waxman医師は、次のように述べています。

 「胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんは、世界で最も致死率の高いがんであり、HER-2陰性の患者さんに対しては、何年も治療法に大きな進展がありませんでした。CheckMate-649試験の結果に基づき、オプジーボと化学療法の併用療法は、化学療法単独と比較して、同患者集団において良好な全生存期間の延長を示した最初のレジメンです。この新しい治療薬をお届けして重大なアンメットニーズに対処できるよう、欧州委員会の決定に期待しています」

※ CPS(combined positive score): PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で割り、100を掛けた数値。